これは恋ではない。 (ページ2)

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眠たい6時間目の数学の授業を乗り越えるとチャイムが鳴った。

Aはグーっと腕を上に伸ばす。

『終わったぁ……』

「Aさっきの問題よく分かったね。あれ応用じゃん」

『予習バッチリだからねー、先生さよならー』

「部活頑張れよー」

Aは鞄を掴むと教室を飛び出して行った。仲の良い女子たちはいつものことだという感じで話していた。

部活めっちゃ楽しいんだから、授業が終わったなら飛び出すしかないでしょ？

と、ルンルンと階段を駆け降りていると目の前にあの子がいた。
私は真っ先に名前を呼んだ。

『しゅう君！』

豪炎寺「A」

私が呼ぶとしゅう君は止まってくれた。彼は私の一つ下の幼馴染、豪炎寺修也だ。

『あれ、円堂は？』

豪炎寺「居残り特訓だそうだ」

『何の？』

豪炎寺「数学だよ。あいつ当てられたのに答えられなくてな、それで」

『あー、数美先生厳しいもんね。それはしゃーない』

数美先生は美人で鬼のように厳しいと校内でも有名人だ。美人だからあえて補習受けたいって言う人もいるみたいだけど、

『あの人の補習は地獄だからなぁ』

豪炎寺「Aは受けたことあるのか？」

『あるよ、模試の結果が悪い時にね。去年の夏休み中だったかなー』

豪炎寺「なんか意外だな。苦手教科なさそうなのに」

『今はないよ。努力の天才だもん』

豪炎寺「自分で言うな」

軽くしゅう君からチョップを受けた。地味に痛いです。