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今日は珍しく塾長が早々に私たちを追い出したので、一斉に帰ることとなり塊になって出口まで向かった。
自動ドアが開くと、一気に凍てつくような冷たい風が吹き荒れる。室内との寒暖差に身を縮こませつつ、キョロキョロと辺りを見渡して目的の彼を探す。
「五十嵐、誰か探してンの?」
『あー、うん』
「もしかして噂の彼氏!?」
期待のこもった目で見つめられたので、曖昧に笑って返しておく。その視界の端に、ちょうど立ち上がった若狭くんを捉えた。どうやら塾の前の植木を風避けにしてしゃがんでいたらしい、通りで初見で見つからないわけだ。
逃げるようにお先です、と告げ若狭くんの元に走った。寒がりな彼はきっと鼻もほっぺたも、真っ赤にしながら待っててくれているはず。
『ごめんね、お待たせ』
「ん、おつかれ」
予想通り鼻もほっぺたも真っ赤な彼の首には、ネックウォーマーしか装備されていない。マフラーを付けろと言ってもつけてきた試しはない。諦めた私は若狭くんのマフラーを持ち歩くようにして、他と比べて防寒力の弱い首に巻いてやるのだ。巻くのを嫌がったことは無いので、嫌いじゃないことは分かっていた。
若狭くんが、私に巻いてもらうためにつけてきてないことに気づいたのはつい最近の話。きっと若狭くんは私が気づいてることに気づいてないんだろうなぁ。だからこうやって、私がマフラーを巻く手をじっと見つめながら、巻き終わるのを大人しく待っているんだ。
蠱惑的で大人な若狭くんだけど、こういう時の彼は酷く子供っぽくて、なんだか可愛い。
「何笑ってンの」
『いやー、ふふ。若狭くんが可愛いなって』
「……嬉しくないンだけど」
『知らないの?女の子から男の子に対する"可愛い"は"好き"と同意義なんだよ』
「…………フーン」
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蘭奈莉逢瑠悲@カナリア:ルカ(プロフ) - やばい好き。これだからワカは最高なんだ (12月11日 0時) (レス) @page44 id: 4d14879615 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんな(プロフ) - めちゃめちゃ最高でした(TдT)人生のバイブル?にします!子供4人は多いなw (11月4日 14時) (レス) @page43 id: c8a07ba8e1 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - とちさん» ありがとうございます、友人の布教活動のおかげ(?)ですかね……絶対役に立たないけどwwwwww (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - NIKOさん» 夢主の反撃が始まりますよォ!! (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - ゆんなさん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです!続けることにしました! (5月4日 10時) (レス) id: 1eabdc05d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかね | 作成日時:2022年4月19日 4時