何度も繰り返す恋を【我妻善逸】

26曲目 ページ26

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テレビの向こう側で、善逸が歌っている。









あれから善逸の名前は瞬く間に知れ渡り、歌番組だけじゃなく元の性格も相俟ってバラエティ番組にも出演するようになり、言わずと知れた"芸能人"となった。









私だけの善逸が、私だけが知っていた善逸の良さにみんなが気づいていく。嬉しい反面、ドロドロと黒い感情が渦を巻く。









善逸は可愛らしいベビーフェイスをしている。しかし何かの番組の企画で服が濡れてしまい上裸になった時、見かけとは程遠い鍛えられた肉体に卒倒する女子が増えた、と蜜璃さんが言っていた。すれ違う可愛い女の子もみんな善逸の虜なのだ。









がチャリと鍵が開く音がする。善逸が帰ってきたようだ。









いつもならおかえり、と声をかけるところだが、気分が乗らなくて三角座りをした膝の上で、組んでいた腕の中に顔を埋めた。









あまりよろしくはない態度をとったのに、善逸は私の隣に座る。









「俺の出てる番組じゃん」

「……」

「ねえAちゃん」









このまま不貞腐れ続けてたら、善逸は私を甘やかしてくれるんじゃないか、とか狡くて面倒くさいことを考えていたのに。善逸のいつもの調子の声なのに何故か反応してしまった。









琥珀色の宝石のような双眸に、引力が生じたように引き付けられる。絡む視線、微笑をうかべる彼。









「結婚しよっか」

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