何度も繰り返す恋を【我妻善逸】

22曲目 ページ22

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善逸は何かに取り憑かれたように曲作りに没頭した。それでも私のために時間を作ってくれる善逸が好きだなぁと感じた。









曲を作る、と決めてから約1ヶ月半









「Aちゃん、曲できたから聴いてくれる？君に1番に聞かせたくて」

「……楽しみ」









愛用のアコギを肩にかけて歌い出す。善逸の得意なバラードだ。澄んだ歌声が空気を震わせて耳にスっと入ってくる。この感覚が心地いい。









より一層善逸の世界に入るために目を閉じて歌を聴く。メロディばかり聞いていたが、歌詞にも耳を傾けてみる。









君は僕を忘れるけれど 僕は君を忘れない

君と僕が出会えたことが運命だと言ったら君は笑うかな









ああ、私たちの曲だ。好きな人の創造の糧になれることがこんなにも嬉しいなんて思わなくて、思わず涙が出た。そんな私を見た善逸は苦笑いを零しながら歌を歌い続ける。









「……気づいた？」

「そりゃ気づくよ」









茶目っ気たっぷりに笑う善逸に抱きつく。









それからの善逸の売れ方は異常だった。動画サイトにアップすればたちまち100万回越え再生。レコード会社も善逸に目をつけ、週刊オリコンランキングは5週続けて1位。大手事務所から多数声がかかり、令和きっての天才シンガーソングライターとまで持て囃された。









善逸が遠くの世界に行ってしまう。忘れていく私は病気を宣告されたあの日から立ち止まったままなのに、彼は私の何歩も先まで歩いて、いつか手の届かなくなる所まで行ってしまうのかもしれない。引き止めていたくて善逸の腕に抱きつく。









「私が善逸の一番のファンだから……」

「何可愛いんだけど！？」

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