ぼくは溺れる 2

サプライズケーキ ページ10

Aが作ってきてくれた料理が並ぶテーブル


あまり人を入れない自分の部屋に


誰かがいることが不思議で


それがAなのが余計にむず痒い感じがして



「すっげーうまい…」


A「ほんと？！よかったー」


「A料理できるんだね」


A「料理はわりと好きかな。裕太もする？」


「うんー、結構好きだよ。こんな上手じゃないけど、」


A「ふふふ、じゃあ今度一緒になんか作ろうよ」


「え！作る作る！」


A「なに食べたいか考えといてね」


「うん！」



さりげなく また会える予定を立ててくれて


またAの料理も食べられそうで


たったそれだけなのに


なんか心があったかくなる。





A「お腹いっぱいだーもうなにも食べれないー」



シャンパンでほろ酔いになって


美味しいご飯でお腹も満たされてきた頃



俺は冷蔵庫から


クリスマスケーキを


出して戻る




「じゃあこれ食べるのキツいかー」


A「え！！！ケーキ！！」


「お腹いっぱいなんでしょ？いいよ、俺1人で食べよーっと」


A「え！やだやだ！わたしも食べたい！なんでそんな意地悪言うの！いちごたくさん乗ってる…美味しそう…」



クリスマス仕様のケーキは


白い生クリームにたっぷりのいちご


ちっちゃなトナカイも乗ってて


Aは子供みたいに目を輝かせてる



「はい、Aのぶん！」


A「わー、ありがとう！用意してくれたんだね、今年はケーキ諦めてたから…すごい嬉しい」


「A予約する時間ないって言ってたから。ごはん作ってくれてありがとう、ってことで」


A「ふふ、じゃあ遠慮なく、いただきまーす！」



美味しそうにパクパク食べて


んー！って目を細めてるA。


仕事の合間縫って予約しにいって


正解だったな〜



想像してたよりもだいぶ喜んでくれて


こっちまでうれしくなる。




A「わたし料理は好きなんだけど、お菓子作りすごい苦手なのね」


「えー？計れば美味しく作れるんじゃないの？お菓子とかって」


A「計るのが、苦手っていうかさ、これくらいかな とかやっちゃうともうダメ…」


「ふふ、ズボラめ」


A「どうせズボラですよー。」


「今度ごはん作るときはお菓子作りもやんなきゃね。俺計る係！」


A「あはは！うまくいきそう！」



変なとこ不器用で


そこもかわいいなーとか思う俺は


きっととっくにAにやられてて。



Aが作ったのだったら


どんなに失敗してるのでも


多少美味しくなくっても


俺は喜んで食べるのにな、なんて。

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