おはよう ページ9
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気がつくと、私は布団で寝ていた。
起き上がらずしばらくぼーっと天井を見つめていた
「じゃあ私、姫のタオル替えてきますね!」
そんな声がして、襖が開いた
鼻歌を歌いながら、雪女が入ってきた
私に全く気付かず、額に置かれたタオルを
新しいものに替える
新しいタオルはキンキンに冷えていた
「雪女、冷たすぎるよ」
「ダメですよ、姫。
ちゃんとし冷やさなきゃ熱が下がりませんから」
「もう熱ないよ!元気だもん」
「ダメです!
だって姫はあれからずっと高熱で……って姫!?」
今更気づいたのか、雪女はすごくびっくりしてた
「ひ、姫!いつお目覚めになったのですか!?
いや、それより総大将と二代目に伝えないと!
あと若菜様とリクオ様にも!!」
「ゆ、雪女落ち着い____」
“落ち着いて”
そう言って宥めようと起き上がった時、
ずっと寝ていたためかふらついて倒れそうになった
……しかし
「ったく、ウチのお姫様はお寝坊さんだねえ」
「お父さん!」
私を支えてくれたのはお父さんだった。
私を優しく起こしてくれ、
……そのまま私にデコピンをした
「いったあぁ!何するのお父さん!!」
「そりゃこっちの台詞だ!」
「何がこっちの台詞____」
「あれだけ言ったのに、なんで逃げなかった!!」
言い返そうと思った。
“でも私が治さなかったら、
お父さん死んじゃってたじゃん”
って。
でも出来なかった。
お父さんがあまりにも悲しく怒っていたから
「……ごめんなさい」
そう言うと、お父さんは私を抱きしめた
「本当だ。
だがもっと謝るべきなのは俺の方だ、リオナ。
守らなきゃならねえのに守れず、
助けなきゃいけねえのに助けられちまった。
すまねえ。許してくれ」
「そんな、そんなの……っ」
お父さんの声があまりにも悲しそうで、
私は泣いてしまいそうになった。
「リオナ、目を覚ましてくれて、ありがとな」
しっかりと目を合わせて言われ
私は何だか恥ずかしくなって、下を向いて頷いた。
「リオナ!目を覚ましたのか!!」
おじいちゃんとリクオ、いやいろんな妖怪達が
どっと押し寄せてきた
雪女が教えたんだと思う
「お姉ちゃん!」
リクオが笑顔で言った
「おはよう!!」
なんだか、暫く言ってなかった気がする。
少しの沈黙の後、私は元気よく返した。
「おはよう!!」
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作者名:kumakarin0110 | 作成日時:2020年7月7日 22時