アオハル返せ【稲荷崎】

9.#アオハル ページ10

「え、何なん？Aちゃんほんまは関西弁なん？」




失態。なんてことだ。




『いや、違くて。家とか気を抜いてる時は関西弁で』




あとキレた時口が悪くなるって言うオプション付き…とボソッと呟く。




中三の頃彼氏が出来た。他校の子だったため、あまり会ったことは無かったのだが本気で好きになった。




しかしデートにつけてきた徹に関西弁で思いっきり罵っている所を目撃され、「思ってた子と違った」と言われ破局。そんなヤツの名は二口堅治。




忘れもしない。あの日ほど徹を恨んだ日はなかったし二口堅治も私の中で最悪な人間という立ち位置になった。




呪ってやろうと思って藁人形作って丑の刻参りを本気でしようと思った。我ながら陰湿である。




あれ以来キレないように気をつけてたのにな。




『このことは黙っといて、ほんとに』




「ええけど……」




バッと俯いていた頭をあげる。あれ、案外話せばわかる人？ならしたくないって言うのも分かってくれないかな？と、期待したのもつかの間。




「見に来てくれたらな？」




なんて同じ顔が同じ笑顔で笑っている。ほんとそっくりだな。




後ろのふたりは苦笑。助けろよ。

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