最初で最期の恋だった【白布賢二郎】

17. ページ18

入院して２日後、小児科に移ることが決まった。なんでも子どもの方が強い治療が出来るらしく。




小児科に来て、病気のことについて簡単に教えてもらってこれからの注意事項を受ける。




感染症に弱い病気だから、人混みは避けること。生ものは禁止。食べ物が全ての私にとって、生禁は地獄でしかなかった。




明日から治療が始まるって時に賢二郎が会いに来てくれた。治療が始まって、白血球の数や好中球の数が一定を超えなければ部屋からは出れないし面会もできない。




『賢二郎、久しぶり』




「……痩せたな」




『賢二郎もだよ』




久しぶりに見た賢二郎は、痩せていると言うよりやつれていて。




無理をさせてしまったことを知った。




『……ごめんね』




「なにが？」




なんで謝ってるのか知ってるくせに。でも、とりあえずこれから最低でも1ヶ月は会えない。




『写真撮ろう、写真！やっぱ髪の毛あるうちに撮っとかないとね〜！』




極めて明るく言ったつもりだった。けど、余計その分重くのしかかって。




「別にいくらでも生えてくるし撮れる機会なんかいくらでもあんじゃん」




それはそうだけど〜と口を尖らせつつパシャパシャと何枚も撮る。




その日のトークルームは私が撮った写真の他にも、賢二郎がいつの間にか隠し撮りしていたのか、笑っている私の写真が幾つか送られてきた。

18.→←16.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す