クリスマス休暇４ ページ41
「セブ、小さくなると味覚も子供になるの？」
屋敷しもべ妖精のドリーと料理をしながら、Aがダイニングテーブルのほうにいるセブルスに聞くと、
「知らん」
と、むっつりと答えが返ってきた。セブルスも一緒にAと料理をするためにキッチンに行ったのだが、小さくて危ないからと追い出されたのだ。
Aは、ちょっと肩をすくめて小声でドリーに言った。
「すねちゃった。ドリーって本当に料理上手ね。勉強になるわ」
「Aも、そのお年にしてはお上手ですよ。オムライスといいましたか、これは初めて見ました」
ドリーが感心したように言うので、Aは照れたように言った。
「魔法で作るほうが上手くできるとは思わなかったわ」
と、器用に薄焼き卵でチキンライスを次々にくるんだ。
「A、未成年者が家で魔法を使うのは……」
禁止されている、というセブルスの声を遮ってAは言った。
「未成年魔法使いの制限事項令ね。……それ、私、多分当てはまらないわよ？」
煮込んでおいたポトフをお皿によそって、野菜サラダをオムライスに添えながらAが言った。
「厳密に言えば、私は成人してるし。匂いもついてないんじゃない？」
セブルスは、Aの言葉にハッとした。
(Aは、魔法省の管轄外である可能性が高いということか……！あの校長ならば、やりかねん)
Aは、にっと笑って、
「私もそう思うわ。確認したわけじゃないけど。それに、ここにはドリーも教授もいるんだから、例え私が未成年だとしても、魔法省は誰が魔法を使ったかなんて分からないでしょ」
と、ダイニングテーブルに魔法で料理を並べながらすまして言った。
「ドリー、ありがとう。ホグワーツに戻るんでしょ？……持ってって」
Aは、お皿によそったオムライスを手渡した。ドリーは一瞬戸惑ったが、にこっと笑って受け取り、バチンと消えた。
「ほら、セブ。あんまり眉間にしわを寄せてると可愛いお顔が台無しよ？」
と言うと、
「余計なお世話だ」
と、さらにむくれた。
(本当に可愛い)
Aはセブルスの隣に座って、オムライスをスプーンですくった。
「セブ、オムライス食べてみて？」
Aが天使の微笑みを浮かべて差し出すと、セブルスは顔を赤らめてパクっと食べ、目をみはった。
「美味しい」
「良かった。チョコレートケーキと生チョコもあるから、後で一緒に食べよう」
Aは、セブルスの頬にチュッとキスをした。
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作者名：Kuma224 | 作成日時：2020年7月14日 12時
