魔法薬学教授の部屋２ (ページ8)

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クリスマス・イヴ～ひな鳥とブランケット～ページ8

(医務室)

セブルスは、おもむろにAを横抱きしてベッドに座った。

「ちょっ…セブ？」

「あとは、吾輩に任せるとマダム・ポンフリーが言ったのを聞いていなかったのか？」

セブルスが涼しい顔で言った。

「言ってたけど・・・何でこの体勢なの・・っ・？」

(かなり、恥ずかしいんですけどっ！！)

と、ダメ元で抗議してみるも

「このほうが、食べさせやすいだろう？」

と、セブルスに、さも当然であるかのように言われた。

「えぇっ、あの…っ。」

一人で食べれるから離して、と言おうとして見上げると、セブルスと目が合った。

(そんな優しい顔、ずるい…。断れない…よ)

「どうした？‥‥ほら、口を開けろ」

セブルスが優しい顔をしたまま、Aの口元にオートミールが乗ったスプーンを近づけた。

Aは観念して、恥ずかしそうに口を開いた。

(・・・恥ずかしすぎる・・・。)

(…でも、こんな優しい顔のセブが見られるなら…いいかな)

Aは、一口食べるごとに赤くなる顔をもてあましながら、黙々と食べた。

３０分後、オートミールを完食した(させられた)Aは、セブルスの腕の中でまどろみ始めた。

すうすうと規則正しい寝息が聞こえてきて、セブルスは苦笑した。

「吾輩の腕の中で眠るとはな‥‥」

セブルスは、そっとAをベッドに横たえてブランケットをかけた。

(お前が眠っている間、このブランケットがお前をこの世界につなぎとめてくれる)

(お前まで失ったら、吾輩は・・・)

死んだようにAが眠っていた間、セブルスは気も狂わんばかりだった。

無表情のAは美しかったが、セブルスは自分の言葉に赤くなったり、怒ったり、笑ったり、くるくると表情が変化するAが好きだった。

その顔が見れないことが、とてつもなく寂しく。

それ以上に。

セブルスは、突然、Aが元の世界に帰ってしまうことを恐れていた。

それゆえに。

セブルスは、Aのためのブランケットを作製した。

自分のマントと同じくらいの考えうる全ての防御魔法を使い、そのブランケットをAにかけることでようやく安心できた。

(医務室で吾輩のマントをかけるわけにもいかないからな…)

セブルスは、すやすやと眠るAにそっと口付け、ダンブルドア校長にAが目覚めたことを報告するため、医務室を出た。