魔法薬学教授の部屋２ (ページ38)

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誕生日６～チョコレートケーキ１～ページ38

(セブルス自室)

セブルスはくくっと笑い、

「理屈が分かれば後は加減を覚えるだけだ。二酸化炭素を液体状態よりも若干固めのゼリー状にすると大鍋に入れやすい。あとは超圧力だが、これは二酸化炭素の流体状態をイメージするしかない。‥‥さ、授業はここまでだ。昼食はサンドイッチでいいか？」

と、羊皮紙にメモを取っているAの頭にキスを落とした。

「…はい。」

Aは少し顔を赤くしてセブルスを見上げた。

＊＊＊

サンドイッチを食べながら、Aは

「セブの魔法薬のつくり方って芸術的ね。無駄がないわ」と称賛した。

「……ほう。理解できたのか？」

とにやりと笑うセブルスに、

「大体は…でも、流体状態のイメージが難しい…」

と考え込んだ。

「そうか。…ところでA、サンドイッチを食べたらどうする？」

「え？…えっと…あの、セブはどんなケーキが好き？」少しためらいがちに聞くと。

「…甘すぎなければ」

「あの…セブの誕生日だからケーキを作りたかったんだけど、材料をどうしたらいいかわからなくて、その…」

とぼそぼそと言うAをセブルスは思わず抱きしめて囁いた。

「材料は吾輩が手配しよう。…何が必要だ？」

「チョコレートケーキでもいい？」

「Aが作ってくれるなら、何でも構わん」

「えっと、卵と薄力粉とグラニュー糖とビターチョコレートと生クリームと、あとは製菓用品一式なんだけど…」と答えると。

「では、厨房を少し借りるか。…ついてこい、A」

セブルスに手を引かれ、Aは初めて厨房にやってきた。

がやがやと世話を焼こうとするしもべ妖精たちに、セブルスは一喝した。

「静まれ！」

声を荒げるセブルスの代わりにAがお願いをした。

「あの、チョコレートケーキを作りたいのだけど材料を少し分けていただける？それから、製菓用品も貸していただけると助かるのだけど…」

と言うと、デザート担当のしもべ妖精が手伝いを申し出てくれた。

「ありがとう。…じゃ、セブ、また後でね」

Aはセブルスを厨房から追い出し、しもべ妖精たちとケーキ作りにとりかかった。

「まずは、ロールケーキを焼くようにするんだけど、材料は…」とAがてきぱきと指示し、あっという間に焼きあがった。

焼いた生地を５センチくらいに長くカットして、アプリコットジャムを塗りながら切り株みたいに丸く成型した。