魔法薬学教授の部屋２ (ページ19)

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追憶ページ19

(クリスマス休暇最終日/セブルスの部屋)

最後の”夕飯とお薬の時間”が終わり、入浴も済ませ、Aはまたセブルスと一緒に魔法薬学の図鑑をベッドに寝そべりながら見ていた。

(うふふ、…セブ、あったかい)

Aは、セブルスと同じ本を読むひと時をとても楽しみにしていた。セブルスの説明は分かりやすかったし、何より同じものを見ているということが一番の喜びだった。

初めのうちはセブルスのバスローブ姿やパジャマ姿にドキドキしたが、(いや、今でもしてるけど)同じときを過ごすことのほうが嬉しくて、幸せで、自分のドキドキに蓋をしている状態だ。

「・・・ともに本を読むというのが、こんなにも楽しいものだとはな…」

セブルスが、ぽつりと呟いた。Aも、

「…私もそう思ってた…」

一緒だね、と微笑むと、

「お前は、誰かに本を読んでもらっていたのではないのか？」

と、不思議そうに聞かれた。

「・・・私、字を覚えるのが早くて。本は一人で静かに読むものだったよ」

実際、読んでもらった記憶はない。あるのは、字を教えてもらったことだけ。最終的には、いちいち字を聞いてくる私を面倒に思ったのか、”あいうえお”を使わなくなった携帯に５０音順に録音し、ひらがなポスターを渡された。

「そうか…」

セブルスは、きゅうっとAを抱きしめた。まるで幼い日の自分も一緒に抱きしめているかのように。

「セブ……、ホグワーツに戻っても、セブの部屋にお泊りしてもいい…？」

Aが、小さな声で言った。

「・・・ああ、待っている」

セブルスは、Aの頭に口付けた。

その言葉に安心したのか、Aはセブルスに抱きしめられたまま、すやすやと眠ってしまった。

「全く。…少しは警戒しろ…」

セブルスは呆れたように呟いて、Aと一緒にブランケットにくるまった。

(Aは、あたたかいな。…吾輩もお前を抱きしめて眠るのは心地よい…。)

そういえば、とセブルスは思い出した。

出会ってすぐに、Aが読み聞かせをしてほしいと言っていたことを。

(あの時は、単に字が読めるようになりたかったからだと思っていたが)

(本当は、誰かに読んでもらうことに憧れていたのだな)

(…読み聞かせか…)

吾輩には縁のないものだと思っていたが、

Aが望むなら叶えてやりたいとセブルスは思った。