距離感 ページ15
sideシルク
「鳴ってんのAさんのスマホじゃね?」
もぐもぐしながら聞こえて来る機会音は、俺のでもマサイでも無かった。
小川「電話でてきますねっ。」
慌てながら、隣の部屋に行くAさん。
別に誰からとか気になってる訳じゃないけど、ドアが開いてるから聞きたくなくても聞こえてしまう、声。
ワントーン上がったAさんの声。
小川「あー…ごめんね。……うん。大丈夫。…あ!一回帰る。それから仕事行く、」
それは、すごく親しげで。
小川「わかった。はーい。じゃあね」
俺らとは明らかに違う。距離感。
電話を終えて戻って来る頃には俺は作ってもらった朝ごはんを綺麗に食べ終えていた。
「ごちそうさまでした。うまかったー」
小川「お粗末様でした。じゃあー片付けま…」
「いーよ。片付けは。一回家帰って会社行くんだろ?俺ら作って貰ったんだから片付けくらいやるよ。な、マサイ」
まだ、食事中のマサイはうんうん頷いた。
俺は流しに食器を運ぶと「シルクくんは、いい旦那さんになるね」って何故かドヤ顔された。
シルクくんは?
どこのどいつと比べてんのかわかんねぇけど。不意にイラッとして。勢い良く水道を上げるとジャーっと水しぶきが上がり足元にかかった。
…最悪だ。
バタバタと、Aさんは準備をする。俺はと言うと台所をウロウロ。手持ち無沙汰にペットボトルのお茶を飲んだ。
マサイ「忘れ物ない?Aさん。」
小川「大丈夫かな。ありがとう。」
マサイ「えーっと。今度の金曜打ち合わせ。よろしくです」
小川「うん。こちらこそよろしくね。それまでに資料メールしとくので確認よろしくです」
マサイ「ん。了解」
まだ、帰したくないようなマサイは取り繕うように話をしてでも、急いでるAさんにこれ以上引き止める術はなくて。
小川「じゃー、お邪魔しました。」
リビングのドアの前。ぺこり、頭を下げる。
マサイ「あ、あのさ!Aさんっ!」
小川「ん?」
マサイ「また、さ。いや。本当、いつでも良いんだけどさ…飯、作ってくんない?」
小川「えー…と、」
マサイ「いや。変な意味はなくて!今日の飯うまかったし。簡単で俺にもホラ!キャベツのヤツとか作れそうだし。レシピ教えて欲しいなぁ。なんて。…ダメ?」
Aさんは、うーん。って悩んでる。
普通は、なんとも思ってないヤツらに飯作るなんてめんどくさくて作んないよな。
だから…
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まひろ(プロフ) - かなとさん» コメントありがとうございます。すいません。外すのを忘れてました。ご指摘感謝します。 (2019年10月19日 11時) (レス) id: 5f80a217b3 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面の注意文をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です。ご本人様方にも迷惑がかかります。ルールというものをちゃんとご確認下さい (2019年10月19日 8時) (レス) id: fca7c03b31 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ