【ワートリ】 そうだ、ボーダーに行こう。

三輪ｄｅエイプリールフール ページ45

「私、近界民なんだ」
彼女からのその一言が俺を混乱させた。
近界民は全て敵だ。排除すべき存在だ。だがそれではAを殺してしまうことになる。
愛する人間を俺は殺すことができるのか？
貴「秀次…」
Aは心配するように俺の顔を覗き込む。今の俺はどんな表情をしているのか。
貴「私だって本当は秀次ともっと一緒にいたいよ。もっと一緒にいろんなことしたいよ。でも、近界から秀次を殺せって…」
A気持ちが言葉の1つ1つから感じ取れる。
貴「だからね、私タヒぬことにしたの。襲撃に失敗してタヒんだことになれば秀次がタヒななくてすむでしょ」
襲撃に失敗してタヒぬ。つまり俺に殺せと言っているのか。
三「…だろ」
貴「え…」
三「できるわけないだろ…」
涙が滝のように流れ出る。たとえ近界民だったとしてもAはAだ。殺せと言われても殺せるわけがない。
うずくまる俺をAは抱きしめる。その温かさが、今は恐ろしく思える。
貴「秀次…」
無理やり顔を上げられる。
貴「ごめん、今の全部ウソ」
・ ・ ・
なにが起きたのかさっぱりわからなくなった。今までのは全部ウソだと。つまりAは俺たちと同じ人間。
頭の整理ができた時、目からはさらに涙がでてきた。
貴「今日ってエイプリールフールでしょ？だから今日は秀次を驚かそうと思ったんだけど。まさか泣くとは。秀次もかわいいな…うぐっ」
いつのまにかAを強く抱きしめていた。
貴「秀次？」
三「やりすぎだ…」
貴「うん、ごめん」

三「今日は俺の家に来い」
貴「いいけどなんで？」
三「俺を騙した罰だ。今日は帰らせないぞ」
貴「は、はい…」(秀次怖い…)

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