【自企画作品】無気力少女は今日も生きたい【HQ/夢小説】 (ページ4)

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１話ページ4

『お前青葉城西行くのか？』

　教室でぼーっとしながら外を見ていたら聞きなれた声が聞こえ顔を上げる。そこに居るのは物心付いた時から一緒にいる幼馴染である影山飛雄。
　口先が尖っている所を見ると何やら不機嫌であるらしい。

(……コイツまた身長伸びたなぁ)

　中学卒業が近いとは言え、身長が百八十近くある影山の事を見ていたら眉間に皺が寄ったのが見えた。これは怒るぞ。

『青葉城西に進学するのか？って聞いてるだろ、きりか』
『あ――うん、そうだね。受かったよ、青葉城西』

　自分の事なのに他人事の様に答えたきりかに影山は大きくため息を付いて言った。

『烏野じゃないのかよ』

　烏野、と聞きどの高校か考える。特に興味そそられる学校ではなかった筈だけれど、聞き覚えのある学校名。
　そうだ、烏野高校は影山の進学先だ。

『烏野は飛雄が行くんでしょ？何で私まで行くの？』

　小首を傾げながらに尋ねる。
　家が隣同士で学区が同じだったから幼稚園から小中と同じだけれど、義務教育以降まで同じにする理由は余程同じ道に進みたいと言う理由がない限りあり得ない。
　特にきりかみたいな無気力タイプは『友達と一緒の学校に～』と言う思考は持たない。
　なのである程度進学に強くて通いやすい青葉城西を選んだのだ。

『お前、一人だと危ないだろう。何もない所で転ぶし、朝は起きられねぇし』

　影山の言う事は全部事実でごもっともであるけれど、それを理由に進学先は選ばないだろう。常識的に考えて。

『いや、私が運動音痴なの分かってるならば余計に烏野は行かないでしょ？そもそも飛雄が行くのはバレー関係。で、私は無関係だよね』

　淡々と声のトーンを一切変えずにまるで機械の様に感情がない声色で言うきりかに、影山はウッと言葉に詰まっていた。
　それは影山自身もきりかが言っている事が正しいと言う事を分かっているからだ。

　きりかにとって影山はあくまでも家が隣同士の幼馴染。影山もそれは同じだけれど、そこに謎の過保護があるのだ。

(飛雄、美羽さんと歳離れてるから下のきょうだいに憧れてる節があるんだよなぁ……。でも私は妹じゃないしそもそも同じ歳だし)

　歳の離れた姉がいる事と運動音痴で無駄に転ぶきりかがいる事で、自分が兄にでもなったつもりなのだろう。こんな兄いらないけど。
　何とか理由付けようとした影山の一言にきりかの眉が寄るのだった。