第141話 ページ48
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「ま、お前となら勘違いされるのも悪くねえからいいけどな！」
「！？」
ニカッと笑うグリーンの言葉はきっと嘘ではない。
それがわかるからこそ、Aは全身が沸騰したように熱を持つ。
「……Aにはちょっと衝撃が強かったか」
グリーンはちょっと揶揄うようにくすっと笑った。
「んで、どうする？学会やってアウトドアで出かけて、って疲れてるようなら解散でもいいが……」
「……そう、ですね。今日はもうおやすみしましょう」
体力的にはこの後もう一か所くらいは全然いけそうなのだが、いろいろと気持ちの整理がしたい。
「グリーンさん、ありがとうございました。楽しかったです！」
「おうよ、こんなんで良ければまたいろいろ連れてってやるよ」
グリーンと別れてエレベーターに乗る。
ドアが閉じた途端、深いため息が出た。
どうやら少し息を詰めていたらしい。
「……ご夫婦、か」
先程男の子のお母さんに言われた言葉がリフレインする。
「タケシさんにもデートとか言われ……あれ？そういえば」
今日着ている服を買いに行ったショップの店員さんもそんなことを言っていたような気がする。
「……まさかグリーンさん、本当に『そういう』目で私を見てるわけじゃないよね……？」
今まで一度もそういった経験が無いので、仮にそうなのだとしても俄かには信じがたい。
ポーン、と音が鳴ってエレベーターのドアが開く。
ぼんやりと歩いて自分の客室に向かい、ガチャリと鍵を開ける。
Aは鞄をその辺に放り、上着を着たまま、ぼすっとベッドに突っ伏した。
いつも通り、楽しい外出だったはずが、まさかこんなことが起こるとは思っていなかったので、どうしていいのか気持ちの整理がつかないというのが現状だ。
「……バーネット博士に電話しようかな」
何かあればいつもは兄に相談しているが、生憎兄は他地方の博士との飲み会に引っ張り出されている。
となれば次に近しい存在は、兄の奥さんであるバーネット博士だ。
「時差……は、問題ないかな」
戸惑いと緊張で指先が震えてはいるが、無事にバーネット博士の番号に発信する。
3コールほどで、「もしもし？」という声が返ってきた。
「あ、バーネット博士。Aです」
『あらっ、A！電話なんて珍しいね、学会はどうだった？』
「あ、なんとか発表も上手くいきました」
『よかった！それで、いきなり電話なんてどうしたの？』
「実は……」
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
