第139話 ページ46
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「イーブイ！？」
「ぶい〜！！」
なぜ号泣しているのかはわからないが、とりあえずAはそのイーブイを抱き上げてみる。
赤子をあやすように背中を優しくトントンしてあげると、多少は落ち着いたのか、火のついたような鳴き方は少しずつ引いてきた。
「どこのイーブイだこいつ……？」
「リボンがついてますし、手入れが行き届いているので、野生で街に迷い込んだというわけではなさそうですね……」
イーブイはしっかりブラッシングされているようで、毛並みも手触りがいい。
「しっかり大切にしてもらえてるみたいだな」
「はい。なので、ご主人様とはぐれて迷子になって、不安になって泣いていたのかもですね」
「人間で言ったらまだ子供だろうしな」
「とりあえず……」
Aは鞄の中からポケマメを一粒取り出した。
「イーブイ、おやつは好き？これ食べて元気になってほしいな」
「ぶい……」
ぐすぐすと泣きながらもイーブイはポケマメを受け取って一口齧る。
「ぶい？」
食べたことが無い味で新鮮だったのか、悲しそうに垂れていたイーブイの耳がぴんと立つ。
そのまま二口、三口と食べ、ポケマメを食べ終わったころにはイーブイは泣き止んでいた。
「良かった、ちょっと元気になったね」
Aが笑顔でイーブイを撫でると、イーブイは「ぶい」と口角を上げた。
「君は迷子になっちゃったイーブイなのかな？」
「ぶい……」
イーブイはしょんぼりと耳を垂らして頷いた。
「ご主人様とはぐれてからだいぶ経つ？」
「ぶいぶいっ」
必死に首を横に振っているので、はぐれてからそこまで時間が経っているわけでは無さそうだ。
「それじゃあこのホテル内にいるかもしれませんね」
「だな、フロントに行って迷子放送かけてもらおうぜ」
「はい」
フロントのスタッフに事情を話すと、スタッフは快く迷子放送をかけてくれた。
「それにしても可愛いなーイーブイ！」
グリーンが楽しそうにこしょこしょといじってやると、イーブイはくすぐったそうにキャッキャと笑う。
「そーいやイーブイには専用Zワザがあったな？」
「あ、はい、『ナインエボルブースト』ですね！」
「俺もイーブイゲットしてそのZワザ試してみてぇな……」
「イーブイZで能力あげてバトンタッチで後続に引き継げれば強いですからね」
イーブイは自分のことが話題になっていると気づいてか、「ぶいー？」と首を傾げている。
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
