第136話 ページ43
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3番道路を進んでいくと、やや小ぶりな山が見えてきた。
「グリーンさん、もしかして山越えするんですか……?」
「ああいや、そこまでしねえよ。今回の目的地はあの山にある広場だ」
「広場……?」
「ま、着いて来いって」
言われるまま、グリーンに着いていくと、山のふもと、洞窟の入口に着いた。
「さ、中入るぞ」
「ここはなんて山なんです?」
「『おつきみやま』だ!」
「ああ、なるほど!今日は満月ですしね、お月見いいですね〜」
「いや、目的は別だ」
「別?」
「おう、中暗いから気をつけて着いて来いよ」
洞窟の中に入ると、すぐ向こうに梯子が見える。
「あれを上ったら、すぐ出口が見えるぜ」
「そうなんですか。なるほど、梯子を上ったりするから動きにくい服装を控えるようにって言ったんですね」
「そういうこった」
梯子は木製で、年季が入っているのか少しギイギイと音がする。
「ん−、今度修繕依頼した方がいいかもな……」
「ふもとのポケモンセンターの方に後で知らせておきましょう」
そんな話をしながら上の階に出ると、確かに数メートルのところに出口が見える。
「さ、いよいよ目的地に近づいてきたぜ」
楽しそうなグリーンに続いて洞窟を出ると、草地に出た。
「ここが『おつきみやまひろば』、今日の目的地だ!」
「街中じゃない分、夜空がとっても綺麗に見えますね」
「だろ?絶好のお月見スポットなわけだが、今回の目的はまた別で、満月の夜だけに見られる特別なものを見るために来たんだ」
「特別、ですか」
「ああ。ここから先はあんまり大声出さないようにな」
「?」
とりあえず大人しくグリーンに着いていくと、グリーンは岩陰に身を顰め、Aにも同じように隠れるよう手で示した。
「あそこ見てみろ……」
グリーンが指さす先あるものを視認した瞬間、Aの目が輝き、「わあ……!」と感嘆のため息が漏れた。
「あれってもしかして、ピッピですか……!?」
「ああ。満月の夜だけ見られる、ピッピたちのダンス。これを見せたくて連れてきたんだよ」
「可愛い……!」
「だろ?あのピッピたちは人間に見つかったと思ったらすぐに逃げちまう。だから隠れながら見てるんだ」
「なるほど」
ピッピたちは楽しそうにくるくると踊り続けている。
「写真撮れますかね?」
「シャッター音消せばいけるんじゃね?」
「じゃあやってみます……!」
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年8月3日 23時