第135話 ページ42
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「んで隣にいるのは……あれ、前会ったことあったよな?」
「覚えててくださったんですね!はい、以前ククイ博士がカントーへ来た時に同行していた、妹のAです」
「ああそうだそうだAだったな!今日はどうしてカントーへ?」
「タマムシ大学で行われた学会に」
「なるほどなあ。んで、なんだ、今はグリーンとはデート中かな?」
「「デ……!?」」
揃って狼狽えるグリーンとAを見て、タケシは「おや違うのか」と楽しそうに言った。
「違いますよっ、そもそも私とグリーンさんはお付き合いしてるとかではないですしっ」
「ははは、すまんすまん!」
「絶対謝る気ねえだろタケシ……」
「せっかくグリーンを弄るネタが見つかったと思ったのに」
「ほら見たことか!」
タケシはグリーンに睨まれても「ははは」と愉快そうに笑うだけである。
「んで、どうだグリーン。アローラに行ってしばらく経つが」
「ああ、なかなか毎日楽しくやらせてもらってるぜ。行って正解だったな!」
「楽しそうで何よりだ」
「っと、そろそろオレらは行くぜ。ここからちょっと歩かなきゃなんねえんだ」
「そうか、ならあそこでお茶と団子の配布してるからもらってくといいぞ」
タケシが指さすカウンターには、「ご自由にお持ちください!」と、ミニサイズのお茶と小分けのお団子が陳列されている。
「あーなるほど、満月恒例お月見セットか」
「中秋の名月じゃなくても毎月やるっていう」
「すまんA、二人分もらって来てくれるか」
「はい、了解です」
Aを見送ったあと、タケシが「で?」とニヤニヤしながら切り出した。
「向こうはどうかわからんが、グリーンは少なくともデートだと思ってるってことですかねえ?」
「!?」
「お前わかりやすいなー、図星って顔だ」
「……」
「やれやれ、あのグリーンもようやく本気で恋愛に取り組むか。まあ頑張れよオーキド博士の孫!」
「いやこれはジイさんの孫関係ねえだろ」
「はっはっは」
「……」
グリーンがジト目でタケシを見たところに、Aが二人分のお月見セットを抱えて戻ってきた。
「お待たせしました!」
「お、ありがとな。そんじゃあぼちぼち出発しますかね」
「はい!それじゃあタケシさん、私たちはこれで」
「ああ、またこっちに来たら顔見せてくれよな」
「はい、ぜひ」
タケシと別れ、グリーンとAはニビシティを東に抜ける。
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年8月3日 23時