第134話 ページ41
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用を足して、軽くリップメイクを直し、フロアに戻ると、グリーンはもうドア付近で待っていた。
「お待たせしてすみません」
「気にすんなよ。よし、んじゃあ次に向かうぞ」
「あっ、グリーンさん、お会計」
「ん?あー会計なら済んでる」
「!?」
いつの間にかすでにお会計が済んでいた。
恐らくはAがお手洗いに行くために外していた間に、であろう。
「す、すみませんグリーンさん、お代……」
わたわたとお財布を探すAを見て、「あーいいって」とグリーンが苦笑する。
「今日誘ったのはこっちだし。来てくれた礼ってことで奢らせてくれ」
「……そこまで仰るのなら」
ここはグリーンを立てるのが最善だろうと判断し、素直に奢られることにする。
「よーし!んじゃあ次はちょっと移動するぞ」
「はい、どちらまで?」
「ニビシティまでだな!ピジョットに乗せてもらうけどいいか?」
「はい、大丈夫です」
ということで、グリーンのピジョットに乗って、ニビシティに向かう。
ふと見上げてみれば、そこはアローラとは違う星が見える空。
今日は満月だから、明るい星以外は見えにくいが、それでも綺麗なのには変わりない。
「月が綺麗ですね〜!」
「!?」
グリーンがギョッとした顔でこちらを見るので、Aも「え!?」と反射的に身を固くする。
「ど、どうしたんですかグリーンさん!?」
「……お前、今の言葉に他意は?」
「他意、ですか。別に単純に『満月綺麗だな〜』って思っただけですが……」
「……だよな、悪い変なこと聞いた」
「は、はあ……」
カントーでは有名な「月が綺麗ですね」は、勿論アローラ育ちのAには「なんのこっちゃ」である。
そんな事件もありつつ、二人は無事にニビシティに辿り着いた。
「さて。こっから少し歩くことになるんだが、ちょっと何か飲み物とか買っとくか?」
「そうですね、小さいペットボトルのお茶などあった方がいいかもです」
「んじゃ、ポケセン寄って自販機で何か買うか」
二人はポケモンセンターに入り、自販機を目指す。
まだそこまで夜遅くないからか、若いトレーナーたちも多く行きかっている。
「お?グリーンじゃないか!」
背後から青年の声がした。
振り返ってみると、茶髪の青年が近づいてきていた。
「おお、タケシか!」
「久々だなあグリーン!」
遭遇したのは、ニビシティのジムリーダー・タケシだった。
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作者名:リトルポム | 作成日時:2022年8月3日 23時