第132話 ページ39
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「こんなに意識的にメイクしたのいつぶりだろう……」
鏡に映る自分は、どこか戸惑うような色もあるが、微笑みがある。
上着を羽織り、鞄を手に、Aは足早に部屋を出た。
集合場所は、このホテルのロビーである。
1階に下りて、ロビーに出たAは、グリーンの姿を探す。
ぐるりと見回してみると、端の方にある椅子に腰かけてスマホを見ている柿色の髪の青年が見えた。
駆け寄ってみると、やっぱりそれはグリーンであった。
「グリーンさん、お待たせしてすみません」
「ん？ああ、大丈夫大丈夫、学会おつか……」
顔を上げたグリーンはAを見て数秒動きを止めた。
「……グリーンさん、大丈夫ですか？」
「……っあ、だ、大丈夫だ気にすんな！えーととりあえず、学会お疲れ！」
「ありがとうございます、なんとか終わってよかったです」
「んじゃあ行くか！まずはメシだな、何が食いたいとかあるか？」
「うーん……せっかくなら、カントー特有のお料理が食べたいですね。この前頂いた雑炊も美味しかったので、気になります！」
「カントー料理か。ってなると……うん、あそこがいいな。よし、着いて来いよ」
「はい！」
先導してくれるグリーンに着いて、ホテルを出る。
グリーンが案内してくれたのは、ホテルから徒歩10分ほどのところにある、いわゆる古民家と言われるような建物だった。
「正統派のカントー料理を、洒落た感じでカフェ風に出してる店でな、今若者に結構人気らしい」
「へー……」
「ディナータイムのセットメニューもあるから、メニュー選択にはそこまで困らないと思うぜ」
「わかりました、楽しみです！」
カランカラン、とベルの音を鳴らしながらドアを開けると、店員さんが「2名様ですね、向こうの壁際のお席どうぞ」と笑顔で教えてくれた。
席に着くと、さっきの店員さんがお冷を持ってきてくれる。
「ご注文お決まりになりましたらお声がけくださいね」
早速セットメニューを見てみると、ワンプレートに盛り付けられた複数のおかずにご飯と味噌汁、プチデザートとワンドリンク、というセットが3種類ほどあるようだ。
「……グリーンさん、この粒々が混じったご飯はなんですか？」
「ああ、雑穀米だな！米以外にもヒエ、アワ、キビ、押し麦、マメ……まあいろいろと穀物を混ぜて炊くんだよ。これがなかなか美味いんだな」
「へえ……じゃあ雑穀ごはん、試してみようかな」
「おう！どのセットかも決まってるなら店員呼ぶぞ」
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年8月3日 23時
