第8話 ページ10
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「僕たちはこの通りカントーは初めてでして……良ければ、ワタルさんのカイリューに乗せていただけないかな、と！」
「ああ、お安い御用ですよ！カイリューが戻ってきたら、一緒にリーグまで飛びましょう」
「助かります！」
こうして、大幅なショートカットが決まり、10分後、アローラの兄妹はワタルのカイリューに乗って大空に舞い上がったのである。
「うわぁ……！」
力強く飛翔するカイリューの上で、Aが歓声を上げた。
「すごいですね！カイリューの飛翔ってこんなに力強くて滑らかなんだ……！」
「ははは、おいカイリュー、良かったな、可愛いお嬢さんから褒められてるぞ」
ワタルがカイリューに声をかければ、カイリューは機嫌よく一声鳴いた。
「アローラのリザードンフライトもいいが、他のポケモンに乗って飛ぶのもまた気持ちいいものだな！」
ククイ博士も楽しそうに声を上げている。
「カイリューは確か心の優しい面と、破壊の化身とも呼ばれるような面、両方持ち合わせているんですよね。やはり育てるトレーナーの心の持ちようによって性質は変わるものですか？」
「そうだな……カイリューは知能も高いから、質の低いトレーナーの色に染まることはあまり無いとは思うが……それでも、好戦的なトレーナーのカイリューは強さが前面に、心優しく穏やかなトレーナーのカイリューは優しさが前面に、ということはありうるだろうな」
「なるほど……」
Aはワタルの話をメモに取ろうとして……やめた。
飛翔しているせいで風が強く、メモ帳が上手く開けないのだ。
「メモは地上に降りてからがいいな！」
「そうみたい」
兄と苦笑しあって、メモ帳を仕舞う。
「そういえば妹さんも研究者でしたね。どのような研究を？」
「私の研究テーマは『人間とポケモンのふれあいによる双方への影響について』です」
「ふれあいによる影響……」
「ええ。例えば、ポケモンにはなつき進化の子たちがいますよね。これもふれあいによる影響です。それから、私達もポケモンと触れ合うことを通して、命の尊さを学んだり、優しさや癒しを受け取ったりしていますよね。そういう、ポケモンと人間双方への影響を研究しています」
「ほう……」
ワタルは興味深そうに話を聞いている。
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年4月17日 19時
