第30話 ページ33
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洞窟を出ると、そこは雪が降りしきる場所だった。
遠くにぽつんと人影が見える。
「グリーンさん、あそこにいるのってもしかして……」
「ああ。レッドのやつだな。行くぞ」
さく、さく、と雪を踏みしめながら歩いていくと、一人のトレーナーが、ピカチュウとコミュニケーションを取っているのが見えてきた。
「おおーい！レッドー！」
グリーンが大きく手を振って呼びかけると、レッドはゆっくりとこちらを見た。
「まーた半袖で雪ン中で活動してやがんのか。お前の身体どうなってんだよ全く」
「……」
近づいてきたグリーンに、レッドは特に返答もせず、無口なままである。
ただ、グリーンの一方後ろを着いてきているAに視線が注がれている。
「ん？レッド、こいつが気になるのか」
「……」
「こいつはA。はるか遠く、アローラからやってきた客だ。A、こいつがレッド。こんな寒いところでこの軽装、ただただポケモンを強くすることしか頭にない変人だ」
「へ、変人ですか……」
いくら幼馴染とはいえ、かなりボロクソな言いようである。
レッドはそれでも表情を変えずに、今度はAが連れているキュウコンに視線を注ぐ。
それに気づいたAは「あ、この子はキュウコンです、アローラの」と説明する。
「リージョンフォームっていって、今まで発見されていたのとは異なる姿・タイプのポケモンです」
レッドはしばしの沈黙の後、ピカチュウをボールに戻して立ち上がった。
そして、Aに向けてそのボールを突き出した。
「え……？」
Aは意味が解らず首を傾げるが、グリーンがレッドの意図に気づいたらしく、「おいおいおい」と非難するような表情を向けている。
「お前ほんとそのいきなりバトル挑もうとするのどうにかしろよな！」
「バトルですか？」
「ああ、レッドのやつ、Aを強いトレーナーだって判断したんだろうな。こいつ、強いトレーナーが現れるといきなりバトル挑みやがるからなあ」
「そうなんですか……」
その間にもレッドはボールを投げ、臨戦態勢のピカチュウを外に出している。
「あーあー……こうなっちまったら止められねえな。悪いがA、相手してやってくれねえか」
「え！？私がですか」
「ああ。あいつ表情ほとんど変わらねえから初対面のお前にはわかりにくいと思うが、なんだかんだあいつ喜んでるらしいからな。頼むぜ」
「……バトルは専門じゃないのでボロ負けしても笑わないで下さいよ？」
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年4月17日 19時
