第29話 ページ32
.
カイリキーにロッククライムで運んでもらいつつ、外周を上り、また洞窟内に入る。
再び滝を横目に進んでいく。
次の部屋に入るとぐるぐると周回するタイプの構造であった。
「高さと歩く距離がそぐわないですね！？」
「カントーでも指折りの面倒くさいダンジョンなんだよなこの山……」
グリーンも毎回苦労しているようである。
「というか、なんか冷えてきたような……？」
「ああ、次に外出たら多分雪が積もってっから。上着着た方がいいぜ。女子なんだから体冷やさないようにしねえとな」
「ふふ、はーい」
新品のコートを着用し、しっかりと前を閉める。
「グリーンさんは上着着なくていいんですか？」
「あー、そうだな、俺も羽織るか」
グリーンも上着を着て防寒対策をばっちりにしたところで、二人はまた洞窟内を進んでいく。
ぐるぐると洞窟内を歩き続け、次に外に出た時には、グリーンが言っていた通り雪が積もっていた。
「うわあ、雪だ……！」
感嘆の息を漏らすAに、グリーンが「雪珍しいのか」と声をかける。
「アローラでは基本的に雪が降らなくて……ラナキラマウンテンという大きな山でしか降らないんですよ。しかもラナキラは登る機会もめったにないので……」
「そうなのか」
「あっそうだ。せっかく来たから出してあげないと……」
Aは鞄からモンスターボールを一つ取り出した。
「出ておいで！キュウコン！」
ぽんっ、と軽い音がして、アローラキュウコンが姿を現した。
キュウコンはキョロキョロと周りを見渡し、一面雪だと理解したのか、嬉しそうな表情を浮かべている。
「へー、お前もアローラのキュウコン持ってたのか」
「はい。アローラのキュウコンはこおりタイプ、ラナキラマウンテンの氷雪地帯出身ですから……」
「この雪山はソイツにとっていい環境ってわけだな」
「はい」
「よし、んじゃあソイツ含めて二人と一匹。登山再開するぞ」
洞窟に出たり入ったりを繰り返して、さらに細かくロッククライムを繰り返す。
ロッククライムで何段も上がった先で、再び洞窟へ。
少し歩くと、ロッククライムを使えそうなゴツゴツした崖が、かなり上まで続いているところに到着した。
「ここを上りきって出た先が、シロガネやまの頂上だ。つーわけでカイリキー！最後のひと踏ん張り頼むぜ」
カイリキーは極寒のシロガネやまでも元気いっぱい。
数分かけて、二人を崖の上まで運んでくれた。
「さーて。アイツ今何やってっかな」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リトルポム | 作成日時：2022年4月17日 19時
