第27話 ページ29
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「見たまんまだよ。うちの父親に弁当を届けにね」
「ああ〜」
その話を聞いて、ククイ博士も「そういえば」と思い出した。
「四天王のキョウさんはジムリーダーを娘さんに任せたと言っていたな。そうか、君はキョウさんの娘さんか」
「ああ！今日はうちの父親とバトルするんだっけ」
「うん、楽しみにして来たぜ！」
ククイ博士の様子を見て「そうか」と笑ったアンズは「ところで」とAに目線をやった。
「そこのあんたは妹だったね。今日もバトルを見学？」
「あ、いえ、今日はグリーンさんと一緒にシロガネやまに行く予定です」
「シロガネやまに行く！？まじかあ、他の地方から旅行に来てまさかシロガネやまに行くとは」
「手持ちの子に雪山出身の子がいて。連れて行ってあげたいなと思っていたんです」
「はー、なるほどねえ。んで、グリーンが付き添いと」
「ついでにレッドの野郎に会いにな」
「あー……アイツ今何してんだい？」
「あいっかわらず頂上付近に引きこもってやがる。いつになったら下山してくるんだか……」
「アンタも大変だねえ」
どうやらアンズもレッドのことはある程度知っているらしく、やれやれとため息をついている。
「さて、俺らはそろそろ登山に出発するぞ」
グリーンが親指をシロガネやま側にくいっと向けてAに合図する。
「はい。それじゃあお兄ちゃん、また後でね」
「おう！気をつけて行くんだぞ」
「はあい」
手を振って兄に別れを告げて、Aはグリーンと一緒にシロガネやまに続くゲートを抜けた。
ゲートの向こうは手つかずの草むら、舗装のほの字も無い土の地面。
この後の登山の厳しさを思わせる道であった。
「この先に一つポケモンセンターがある。そこから向こうはめでたく休憩所無しの登山の始まりだ」
「いよいよ、ですね」
「ああ。そういえば、ロッククライム持ちのポケモン連れてきたか？」
「あっ、そのことでご相談があるんでした」
「ん？」
「オーキド博士にロッククライムの用途を聞いたんです。それを鑑みると、私の手持ちでロッククライムを覚えられてなおかつ私を乗せて移動できるような子がいないんです」
「そうなのか？そしたら、俺のカイリキーに一緒に運んでもらうか！」
「グリーンさんのロッククライム要員はカイリキーなんですね」
「ああ。安心しろ、俺の手持ちは全員気のいいやつだから」
「ふふ、ありがとうございます。よろしくお願いしますね」
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作者名：リトルポム | 作成日時：2022年4月17日 19時
