太宰治に成り変わったんだが part２《文スト》

４９話 ページ9

はらはらと空を舞い躍りながら落ちてきた白は、あっという間に世界を染め替えた。


｢うわぁ、ついに降ッてきちゃいましたね。｣


窓から外を眺めていた私にならって、外を見た谷崎君が驚いたように云う。


『谷崎君の異能力と似ているね。とても美しいよ。これなら外で凍死もできるかな………』


｢やめなよ太宰、アンタは一応女なンだから、厭らしい男に捕まッても知らないよ？｣


『やだなァ、与謝野女医ったら。』


そんなもの、とうの昔に失っているが。


初めて男と身を重ねたのは、齢１５の時だった。まったく知らない相手に抱かれ、気持ち悪くて吐きそうになって。


それでも、誰かに抱かれる事に馴れてしまった私は、その手の任務をこなしていた。


｢おい太宰、貴様はさっさと仕事を済ませろ。｣
　

『えぇ………其れじゃあ仕事を終わらせたらこの後出掛けても良いかな？』

　
珍しく断りをいれた私に、国木田君は少し驚いたように目を見開いたが、頷いた。


ならばと、私はボールペンを握り慣れた手つきで報告書を仕上げていく。


今日はどうしても、行きたい処が有ったから。









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