太宰治に成り変わったんだが part２《文スト》

４７話 ページ7

それから、また一年後。



『おやおや、国木田君から連絡が来たから本当かなと思えば。』


探偵社の社屋に入ると、其処には緊張した赴きでソファに腰掛けている青年がいた。


橙色の髪の毛をピンでとめて、耳には両方にイヤーカフをつけている。


(橙色の髪の毛…………あの蛞蝓と似た色をした髪の毛だなぁ…………)



青年の瞳は藍色では無かったが、勝手に思い出した自分に嫌悪を抱く。


｢あ、あの…………｣


『ん？何だい？』


｢僕は、谷崎潤一郎ッて云います…………これから宜しくお願いします！｣


そうやって大袈裟に頭を下げた谷崎君。

すると、隣に立っていた一人の少女がニコリと怪しい笑みを浮かべる。


｢妹の谷崎ナオミですわ♪兄様共々宜しくお願いします。｣


妹、なのか？

あまりにも似てなさすぎる二人に、私は若干の恐怖を抱きながら頷いた。

『私は太宰、此処の異能力調査員だよ。趣味は自 殺で、楽に明るく元気に死ねる方法なら幾らでも教えてくれたまぇって痛いｯ！！』


｢ど阿呆！！新入社員にいきなり何を云っている！！｣


『酷いよ国木田君！？私はこれでも何十回も告白されたイケイケ女子だと言うのに！』


殴られた頭を擦りながら云えば、国木田君の愚痴が始まる。


谷崎潤一郎君、か。


あの子はかなり裏表が激しいようだね。

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