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44話 ページ4

私は洋館を駆け抜けて、舞踏室に駆け込んだ。

そこに至る道には、おびただしい数の死体が散乱していた。

樫の扉を叩き付けるように開くと、其処には赤色のなかに没する友人。


『織田作ッ!!』


「太宰………」


私は織田作に駆け寄って、その身体を何とか抱き寄せた。

胸の傷は、明らかに致命傷だった。


ボタボタと瞳から、もう何年も流していなかった涙が溢れてしまう。


『バカだよ織田作、君は大馬鹿だ………!』


「あぁ…」


『こんなやつに付き合って死ぬなんて、馬鹿だよ………!』


織田作の、ある種の満足感の浮かんだ微笑みに、心がズキリと痛む。


「太宰………云っておきたい事がある。」


『駄目だ、止めてくれ!まだ助かるかも知れないッ…………だから、お願いだから………!』


逝かないで。


そんな一言と共に、織田作の頬に滴が弾けて消えていく。


人を救う側になる。

そんなの、私に出来るのか?


「人は自分を救済するために生きている…死ぬ間際に其が分かる………か、正にその通りだな………」


頬に添えられていた温度は、もう無いに等しいほど冷めていた。


崩れていった手は、私の包帯にかかり、見えていなかった右目は姿を表す。


ゆっくりと遺体を置いた私は、涙で見えなくなる視界を必死に庇いながらその場を去った。

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大吉 - 面白いです!続きが気になります! (2017年11月5日 8時) (レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
月影 - 最後のメッチャ泣けます!いい話!!ハッピーエンドで良かったです!!夢主ちゃんでも太宰さんだからなんだか太宰さんの泣いてるシーン想像しちゃいました。(それはそれで面白そうww) (2017年5月30日 6時) (レス) id: 091673db49 (このIDを非表示/違反報告)
id=es(旧カシ魔女) - あらやだ再開が素敵すぎる←そして中也君はイケメンすぎるよ、最高か←← 初期から見させてもらっています、頑張ってください! (2017年5月7日 0時) (レス) id: bd9f4f1f85 (このIDを非表示/違反報告)
帰蝶(プロフ) - 凄く面白かったです!!!これからも頑張ってください♪応援しています!!! (2017年5月4日 8時) (レス) id: 07fa8ea693 (このIDを非表示/違反報告)
アテナ - ネタで、黒の時代の双黒の日常なんてどうでしょう? (2017年4月30日 18時) (レス) id: a461921cc4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/  
作成日時:2017年4月27日 22時

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