31話 ページ33
私は、まだ肩で息をしている芥川君に容赦なく蹴りをいれた。
「カハッ…………!」
口から赤色が溢れて、苦しそうに身体を震わせる芥川君に冷たい視線を向ける。
『能力発動が遅い!敵が中也だったから善いにしろ、敵は君が起きるのを待ったりしない。』
『立て、異能で反撃しろ』
あまりにも慈悲のないその言葉に、芥川君は憎悪にも似た目線をむけてから羅生門を展開。
「ぐ、うわぁああッ!!」
叫びと共に殺到する黒布を、私は片手間に無効化してから、彼の腹に膝を埋め込む。
女の私でも、華奢な彼は簡単に吹き飛んだ。
背後の荷物やガラクタの積まれた場所に叩き付けられた彼。
中也は何処か呆れたように、土管に座って眺めていた。
『その程度では組織で生き残れないぞ!
それとも、貧民街の野良犬に戻りたいか!』
その言葉が引き金になったように、芥川君は口の血液を拭った。
よろめきながらも立ち上がる彼に、私は包帯で覆われた右目を僅かに細めた。
『よし、もう一度だ。』
バキッ
・
『今日は此処までで良い。君は早く帰れ。』
結局、訓練が終わったのは夜の7時。
私は辛そうな彼を横目に見ながら、紫煙に身を委ねる中也のもとへ。
『帰るよ、中也。』
「あァ?終わったのか…………」
今日もヨコハマの夜は更けていく。
背後から向けられる強烈な目線を無視して、私は中也と本部に帰った。
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麗亜@眠い。(プロフ) - 失礼します。只今中原中也誕生祭実施中です。よかったらご参加お願いします! (2017年4月29日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
コウ(プロフ) - オチは中也さんオチだといいな〜です! (2017年4月29日 14時) (レス) id: 3439354143 (このIDを非表示/違反報告)
お芋 - 中也さんオチがいいです…!! (2017年4月27日 20時) (レス) id: 425d94421e (このIDを非表示/違反報告)
麗亜@眠い。(プロフ) - オチ中也さんがいいな。。。 (2017年4月27日 15時) (レス) id: f73bf57bf2 (このIDを非表示/違反報告)
アオアオ - 初めまして!この作品とても面白いです!オチは中也さんがいいです!!この流れは絶対中也さんだと思います!!これからも頑張ってください! (2017年4月27日 14時) (レス) id: 20e1587176 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アリス | 作者ホームページ:https://jp.pinterest.com/meru0626/
作成日時:2017年4月11日 19時