今日からあなたのお母さんです。番外編【太宰治】

九話 ページ10

ポンポンと肩を叩けば身じろぎをした太宰くんが布団の中からひょっこりと顔を出した。




「お帰り、お母さん」




へにゃ、と笑った太宰くんの顔は少し赤くて私が飲んだの？と聞けば




国木田くんと少しね。とだけ言ってゆっくりと体を起こした。




リビングへ行こうとすれば、太宰くんはさっきまで使っていた布団を片手で持ち、私の服の裾を掴みながらついてくるわけで




なんだこの可愛い生き物は！




崖っぷちで思いっきり叫びたい気持ちに私は思わず体を震わせた。





『真逆、ずっと玄関で寝て待ってたの？』



「駄目だったかい？」



『猫みたいだね』



「うふふ」





あぁもう、今にでも頭から猫耳が出てきそうだよ。
優しく頭を撫でれば太宰くんは気持ち良さそうに目を細めた。




その様子に私の心はうさぎのようにピョンピョンと跳ねるばかりだがさっきから微妙に視線をそらす彼に違和感を覚える。









『……もしかして不貞腐れてた？』

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