今日からあなたのお母さんです。【太宰治】

十七話 ページ18

異能力『花吹雪』.



『ねぇ……なぜ花は美しいのか知ってる？』




私は開き続ける傷口を手で抑えながらゆっくりと立ち上がる。




「何？」




『花はね、花粉を運ぶ虫を呼び寄せるために美しく咲くんだ。つまり、自身の美貌で全てを利用するんだよ』




部屋から数枚の花びらが舞う。




『君にとって人生最後の花見だね』




男の目が見開かれた。




その瞬間、強い風とともに大量の花びらが現れ大きな花吹雪となって二人を囲む。




「あぁ…美しいですね、あなたの異能は…」




男は呆気にとられたように部屋を見渡す。




美しいものは、時に残酷なものとなる。私が指を鳴らすとたくさんの花びらが男の体に“突き刺さった”。





「がっ、…ぁ」




花びらはどんどんめり込んでいく。




『私の異能力は人を喰らう。自分でも、体の血が抜けてるのがわかるでしょ？



その血が、肉体が私の異能をさらに美しくするんだ。』







その瞬間、扉が勢いよく開く音とともに聞きなれた声が部屋に響いた。





「山原さん！！！」

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