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二十 ページ22

絵梨衣がスケッチブックを見せてしばらく沈黙が続いた。絵梨衣はスケッチブックで口元を隠し様子を伺う中、沖田は驚いた表情をしていた




沖田「そうだな…どれくらい聞いてないかな、お前の声」




絵梨衣(「ちっちゃい時はよく絵梨衣に甘えてたね、総悟」)




沖田「思い出させんじゃねィ、年下に泣きついてたとか恥ずかしくて話せるわけねぇだろィ」




沖田は手で顔を隠してうずくまった。ちょっと見えた頬は赤くなっている
そんな沖田を見て口元を緩めた絵梨衣は、ちょんちょんと沖田の肩を突きスケッチブックを見せた




絵梨衣(「だから、絵梨衣と総悟だけのないしょでしょ(´・ω・)?」)





沖田「…もしかして弱み握られてる感じ?」




絵梨衣は首を傾げた。意味はよく分かっていないらしい





絵梨衣(「総悟が、絵梨衣の声を聞きたいなら、絵梨衣頑張る」)





(「声、出せるように」)





沖田「…無理すんなよ。俺が我儘言った見たいじゃねぇかィ」





絵梨衣(「無理してない。声出せて、みんなとまた話せたら…また笑えるかもしれない」)




常に無表情な絵梨衣。何を考えているのかはスケッチブックがないとまず分からない
そんな絵梨衣も昔は年相応に笑ってた。こんな正反対になったのには原因があると沖田は考えていた
隣に座る絵梨衣の頬をむにっと摘んでみた。絵梨衣は表情を変えず沖田のほうを向く


すると沖田は両手で摘み始めた。ムニムニと頬は緩んでいるが表情は決して変わらない




沖田「表情筋緩むかなと思ったんだけど…表情筋死んでんじゃねぇかィ」




絵梨衣(なんだコイツ)





さっきまでしみじみと話していた奴が急に頬を触りだした。しかし沖田の男の子だけどまだちょっと柔らかい手が好きな絵梨衣はそれを止めたりしない


やめたと思えば立ち上がり、缶をゴミ箱に向けてほっぽり捨てた



沖田「早く帰るぞ、近藤さんと土方さんが心配してらァ」



と言ってスタスタと先に歩いて行ってしまう沖田を慌てて追いかける



沖田「あ、言い忘れた。声出せるようになるのは待ってやる、その代わり土方が知ってて俺が知らないこと、全部話してもらうからな」



と、捨て台詞のように言ってまた先に行ってしまった





絵梨衣(…まぁ、総悟になら話しても大丈夫かな)






沖田(やべぇ、昔のこと思い出して泣きそうになった…)







だが考えてる事は全く違った。









後日、局長と副長の誤解を解くのに三日かかった

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作者名:Spica | 作成日時:2020年10月14日 0時

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