十四 ページ16
絵梨衣と神楽は振り返ることなく立ち止まる。
声の正体は絵梨衣には分かっていた。祭りの時に高杉から自分を助けた女の子の声
「お前、夜兎族。214番から離れて」
神楽「お前なにアルか?夜兎に恨みでもあんのカ?」
神楽は特に怯えることなく平然と女の子と会話を続ける。周りには誰もおらず、通報などは望めない
「お前には関係ない、天人は潰す」
女の子の持っていたハンマーの刃の部分が神楽の首元から離れ、今度は神楽の真上から振り落とそうとした
「やめてっ…」
制止の言葉に神楽に振り下ろされたハンマーは神楽の頭上で止まった
神楽も神楽で反撃しようと番傘の持ち方を変えていたが振り払う手前で止まった
この誰もいない夕方に公園で響く声は考えるに一人しかいない
神楽「…絵梨衣?」
神楽に名前を呼ばれて我に返った絵梨衣は慌てた表情で自分の口元を両手で抑える
「死の審判が下されない…天人だから?」
絵梨衣と同じくらい驚いている女の子。絵梨衣は何かを決心したかのように口を開いた
絵梨衣「お願い…は、話を聞いて…あ、あなたのこと…知りたいの」
「…分かった。悪かった、ついカッとなって」
ここに来てやっと女の子の殺意が収まった。神楽も状況は理解していないがついて行くことになった
❀-❀-❀-❀-❀
絵梨衣(「神楽、お詫びに好きなだけ頼んで」)
神楽「いいアルか!?絵梨衣太っ腹ネ!!」
すると神楽は案の定遠慮なく店員に注文をしていく。現在いるのはレストラン、女の子は入るのが初めてなのか物珍しそうにキョロキョロしている
絵梨衣(「来るの初めて?あなたも好きなの頼んでいいよ」)
「なるほど、普段はそうして声を出さないようにしているのね…私ハンバーグで」
神楽「絵梨衣は何食べるアルか?変わりに頼んでおいてあげるネ」
声を出さない絵梨衣の代わりに注文をしてあげる神楽。絵梨衣の指さしたメニューを代わり店員に伝える
絵梨衣(「絵梨衣はちゃんと理解してない。でも絵梨衣が喋っちゃいけないことは分かってる」)
「知らないままの方が、あなたのためかもしれない」
「けれど、あなたが望むなら、私は教える」
淡々と話し始める女の子。絵梨衣にとって彼女は境遇の似た女の子、ただそれだけだった
絵梨衣(「…まずあなたについて教えて」)
「私は
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作者名:Spica | 作成日時:2020年10月14日 0時