愛だの恋だのくだらない2【ワートリ】【WT】 (ページ10)

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51話ページ10

米屋との対戦が終わり部屋から出ると、不意に右側から声をかけられた。

「有言実行だな宮野」

顔を向けると手をひらひらと振りながら寄ってくる出水と先程戦った米屋が見えた。

『ぎりぎりだったけどね』

「あれはまじでビビったわ」

「んじゃあ飯行こうぜ」

『…別にいいけど』

「決まりだな」

会話を交えながら本部内を歩いていく。本部から出て少し経つと前方に小ぢんまりとした喫茶店が見えてくる。デザートの種類が豊富で且つ本部からも近いということで贔屓にしているお店だ。

スイングのドアを開けて店内に入るとお客さんは1人もいなかった。時間的におやつの時間としては遅く夜ご飯の時間としては早い時間だからだ。

奥の方の窓際の席に出水と米屋と向かい合って座る。

「2回戦目突破記念で奢ってやるよ」

『お言葉に甘えて…』

「食べすぎて太るなよ」

余計なお世話を言う出水を無視してメニューの魅力的なデザート類を睨みながら唸る。いちごパフェも捨て難いが抹茶のロールケーキも捨て難い。

結局私は抹茶のロールケーキ、出水はフルーツタルト、米屋はババロアを飲み物は炭酸ジュースをオーダーした。割と直ぐに注文した品が運ばれてきた。

「お疲れ様ー」

『お疲れ』

「お疲れ！」

グラスをかちんと合わせ、冷たい炭酸を乾いた喉に流し込む。

「次は加古隊だな」

『多分加古さんだと思う』

「こういうの好きそうだもんなー」

加古さんはシューターながらにしてスコーピオンも使う感覚派の人だ。それに風刃の候補者にも選ばれてもいる。

「宮野ならどうにかするだろ」

「俺に勝ったんだしな」

2人はもぐもぐと口を動かしながら適当な事を言う。

『それは分からないけど、せっかくここまで勝てた。だから加古さんでも相手が誰でも私はやるよ』

そう言い私はグラスの中の炭酸を飲み干した。