☆君のすべて -1- (ページ30)

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【29 過去】ページ30

私達はその日、瑞希くんの家に泊まった。

次の日会った両親は、とても冷たかった。

ただ眠っているようにしか見えなかった。

それから私達は

親戚に引き取られることになった。

けれどその親戚は私だけを引き取らなかった。

理由は簡単。

その親戚のおばさんが私のことを嫌いだから。

なんでも出来ると、もてはやされた私は

親戚の間では人気者だった。

それがあのおばさんは気に食わなかった。

自分の娘が1番だったあのおばさんは

私以外の兄弟を引き取り東京に残り

私は大分の児童養護施設に預けられた。

弟とは手紙のやり取りをしていたが

5年前から届かなくなってしまった。

おばさんに見つかったのかもしれない。

私の手元にあるのは

5年前弟がくれた最後の手紙。

新しく引っ越す住所と

いーくんとはーくんの今の姿。

私が東京に上京して来た本当の理由は

いーくんとはーくんを探すため。

もちろん両親も知っていて

快く了承してくれた。