moon light 2 【天/月】【ま/ふま/ふ】

【14-7】 ページ13

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Aを家まで送る担当が、すっかり自分に定着してきた事に気持ちを弾ませ、俺は隣を歩く彼女をチラリと盗み見る。

今年の猛暑に見合わない位に色白なAは、月に照され 一際眩しく俺の目に映った。


「今日も、皆で生放送楽しかったねっ」


俺の視線に気付いた様子のAが口を開く。


「うん……ていうか、まふとの大事な放送だったのに邪魔しちゃってごめん」


「邪魔なんかじゃないよ？コラボ動画の話しだけじゃすぐ放送終わっちゃってたし、それに……」


彼女はそこまで言って、一呼吸置いた後「天月くんとも久々に会えて嬉しかったし」と、控えめに呟いた。



Aは直ぐに俯いてしまった為、その表情は伺えないが、俺は顔が真っ赤に染まるのが自分でも分かる程だ。


その言葉が“友達として”だと必死に自分で言い聞かせるも、先走る喜びの感情が、心拍数を上げていく。


「そんな事言われたら俺、勘違いするよ……」


それは、Aに聞こえない程度に呟いた、小さな独り言。


「えっ？」


「いや、俺も久々に会えて嬉しかった、って言ったの……！ていうか、まだ話し足りない位だし」


余裕のなさを彼女に悟られないように、照れ笑いをして誤魔化すと、Aも釣られるようにクスクスと笑ってくれた。


「じゃあ、もう少しお喋りしてから帰りたいなー」


「え！？いいの？」


「私も話したいこと沢山あるもん」


「よし！じゃあちょっと寄り道して帰ろっか！」


「わーい！寄り道だ！」



子供みたいにはしゃぐ彼女を、愛おしく思い自然と頬が緩む。


「どっかカフェでも入る？奢りますよ？」なんて、必死に大人の男アピールをして見るけれど……


「んー？それより私、天月くんとあの公園にいる時間が好きだよ？」


俺のアピールは、Aの自然な上目遣いとその言葉により、虚しくも空回り。


「うん！じゃあそうしよっか」


もう、そんな嬉しい事ばっか言ってくれると、本当に俺、勘違いするよ……。

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