2018年─4月10日 恵&優太と任務 ページ10
4月になった。
恵が呪術高専に入学した。
もう一人の新入生である釘崎野薔薇は、高専入学の件でお祖母さんとモメているらしく、入学が遅れている。
「昨日は寂しい入学式になっちゃったね」
「別に気にしていません」
任務に向かう車の中で恵に話しかけると、そんな答えが帰ってくる。
今日の私は恵と優太との合同任務だ。
「早速、伏黒くんと任務とはね。よろしくね」
優太がにこにこと恵に笑いかける。
「そう言えば、優太！特級への返り咲き！おめでとう！！」
百鬼夜行以降、優太は特級から4級に落ちていた。
けれど、彼の術式である
凡人には到底できない芸当。
それほどまでに優太には呪術師としての素質や才能があるということだろう。
「ありがとうございます。真希さんやAさんが特訓に付き合ってくれたお陰です」
「悟に頼まれたからね。それに、私も真希や優太と手合わせしていい刺激になったよ」
私は傑たちに拐われたことが悔しくて、もっと強くなりたいと思ってたところだから、一石二鳥ってやつね。
「それにしても、どうしてこの3人で任務なんでしょう？」
優太が思い出したように呟くと不思議そうな顔をする。
「特級術師と準1級術師、2級術師……かなり手厚いですね」
恵が首を捻る。
多分、私が任務の後にマイキーを探しに行かないように、悟と正道が仕組んだんだろう。
1級案件の任務らしいけれど、呪術界は人手不足なのに普段と比べるとメンツが手厚すぎる。
合同で任務するとしても私と恵、もしくは優太と恵で十分の筈だ。
悟に直接言われた訳じゃない。
けれど、あの後からきよちゃんは私や悟を見る度にビクビクしているし、ちょっと言い合いになって気まずかった私を他所に悟の方は、至っていつも通りだ。
私ときよちゃんを一緒にさせないためなのか、今日の補助監督は新田ちゃんだし。
まぁ、新田ちゃんは元ヤンで話してて楽しいから良いんだけど。
因みに、新田ちゃんに梵天のことで知ってることはないか聞いたことがあるけれど、彼女は関西出身だから、関東の不良には疎かった。
「なんでだろうねー。アレじゃない？優太は特級に返り咲いたばかりだからその慣らしと、恵の高専デビュー後、初任務だからじゃない？」
「そんなもんっスかね？」
ハンドルを握る新田ちゃんも、多少は今回の人選に思うところがあったようで話に入ってくる。
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作者名：月見 | 作成日時：2023年7月1日 13時
