脅し文句 ページ7
百鬼夜行以来、暫く暗かったAだったけれど、1ヶ月程前辺りから以前までの元気を取り戻した。
それまでは「別れる」って言われてもおかしくなかったからねぇ。
ふぅっと、大きく息を吐くと硝子が呆れたように口を開く。
「全く、昔からお前たちは世話が焼ける。……お前みたいなグズでも好きでいてくれているAに感謝するんだな」
「梵天って…」
僕らの会話を聞いていた恵が瞬きしながら尋ねてくる。
「あぁ、Aには妹のエマちゃんの他に弟がいてね。……佐野万次郎。彼は梵天のトップで、それでいて特級の呪いに憑かれている男さ」
この数分の間に知った驚く事柄の多さに、恵が驚きで声を失っている。
「Aは昔から家族や仲間が関わると必死でな。エマがあんなことになって、マイキーが家出して、お爺さんが亡くなってからは更に酷くなったな」
「あの人がいつも明るいのは、空元気ってことですか」
「そうなるね」
「……悟、悠長にしてるとAはまた一人で突っ走る。早めに何とかしな。もしも、Aに何かあったらお前のせいだからな」
そう言い残して、硝子が部屋を出る。
Aに何かあったら僕のせいねぇ。
凄い言い掛かりだけど、あながち間違いでもない。
「と、言う訳だから、教えてくれるよね?伊地知??」
ニンマリと僕は満面の笑みを浮かべて伊地知へ振り向いた。
そこには顔を真っ青にした伊地知がいて、観念したように話し始めた。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時