痴話喧嘩 ページ5
「悟、……アンタ態とでしょ?」
「何が?」
「しらばっくれてんじゃないわよ!態と恵の前で言ったでしょ!!」
「そんなに怒らないで」
「怒るわよ!!大体!私のこと心配するんだったら、街中で女の子に声掛けられた時は、さっさと追い払いなさいよ!!」
ぎゃー!ぎゃー!!と言い争う私たち。
それを恵がポカンと口を開けて見ている。
「煩いよ、痴話喧嘩は外でやりな」
その声に部屋の入り口を見る。
「硝子ぉ!!聞いてよ!!悟が恵の前で私に恥を欠かせたぁ!!!」
バッと硝子に駆け寄ると彼女の背中に隠れて悟を威嚇する。
「酷い言いがかりだねぇ」
「悟、お前が悪い」
「わぁお、理不尽!」
「………あの、お二人は本当に付き合っているんですか?
恵が控えめに尋ねてくると「そうだよ」と悟が答えた。
マジか。と、その顔が固まる。
「……………じゃあ、ゆくゆくは結婚──」
「しないよ!!」
恵が言い掛けた言葉を私は否定する形で遮った。
途端、その場にいた全員の視線が私に集まる。
「私たちが付き合うのは悟が政略結婚するまでの間だから」
「まだそんなこと言ってたのか」
はぁーと硝子がため息を付く。
「御三家だよ?ムリムリ!それに仮にも教師の悟が反社のトップを弟に持つ私と結婚なんて、ダメでしょ!」
「そんなの
悟はそう言ってくれるけれど、そうじゃない。
「大問題よ!…………だって、いつかその時が来たら、私は上層部の指示には従えない。私はマイキーを………っ、弟を助けることまだ諦めた訳じゃないから!」
そこまで言い切って少し頭が冷静になる。
私は恵やきよちゃんの前で何を取り乱してるんだろう。
「Aは一体何に怯えてるの?どうして逃げる?」
硝子の問い掛けに、私は答えることが出来なかった。
「ごめん、ちょっと外の空気吸ってくる」
そう告げて、部屋をあとにした。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時