現地到着 ページ33
恵の任務派遣先である学校に向うと、何やらとてつもない呪力を感じる。
ここに特級呪物があるのは間違いない。
数分前に見た未来予測で恵が呪霊と退治しているのが視えていた。
校舎の上に人影が見える。
「あそこだね」
そう呟いた悟が急に私を抱き抱えた。
「わ!」
ふわりと体が宙に舞う。
このなんとも言えない浮遊感が私は少し苦手だったりする。
「飛ぶならそう言ってよ」
「ごめんごめん」
スッと座り込んだ恵の後ろに瞬時に移動すると悟は私を下ろしてくれた。
「今どういう状況?」
悟が声を掛けると、私たちの存在に驚いた表情の恵が振り返った!
「なっ!五条先生!Aさん!?どうしてここに?」
「いや〜来る気なかったんだけどさ。流石に特級呪物が行方不明となると上が五月蠅くてね。観光がてらAと馳せ参じたってわけ」
「観光がてらって、Aさんは今任務意外の外出禁止ですよね?」
「恵が関わる任務でね、特級呪物が受肉する未来予知を見たの。それを理由に任務として外出許可が下りたってわけ」
告げると恵の顔が固まる。
「……じゃあ、五条さんの」
「そ。悟のお陰というか仕業だね」
「君たち、人聞き悪いね。で?特級呪物は?」
悟の問い掛けに恵は顔を固めたまま答えない。
その代わり、その場にいたもう一人の人物が「あのー」と、手を挙げる。
よく見れば、未来予知で視た高校生ぐらいの男の子だった。
「ごめん。俺、それ食べちゃった」
「は?」
食べちゃった??
え、アレ食べたの?
「マジ?」と私と悟の声がハモれば、恵たちもハモリながら「マジ」と頷く。
ってことは、もう受肉した後!?
嘘でしょ!?間に合わなかった……!!
「もぉっ!悟が喜久福なんか買うからぁ!!」
バシバシと悟の背中を叩くと、悪気なく「ごめんってば」なんて返してくる。
そんな私たちのやり取りを聞いた恵が「え?喜久福?」と声を洩らす。
ハッとして、恵の顔を見ると信じられないと言いたげな視線を悟に向けていた。
きっと私たちが来る前まで、戦闘していて大変だったに違いない。
その証拠に恵の額からは血が垂れている。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時