隠し事 ページ4
「ありがと。ところで悟の後ろにいるのは？」
「ジャーン！今度入学する伏黒恵くんでーす！」
テンション高めな悟に比べ恵の方は「どうも」とクールに答える。
「なんだ恵か」
「ちょっと！ちょっと！！もう少し“おぉ〜！”とか、反応あってもいいんじゃない？二人しかいない今年の新入生だよ？？」
「新入生なんて毎年2〜3人じゃない。それに恵とはもう何度も会ってるから、今更感動も無いわよ」
「そうですね」と頷いた恵に「恵まで！？」と悟がオーバーにリアクションする。
「恵、………津美紀ちゃんの様子はどう？」
尋ねるのは少し躊躇われたけれど、同じ呪いを掛けられた者の家族同士、やはり気にはなるもので……。
私が尋ねると恵がピクリと反応する。
「相変わらず寝たきりです」
「そう……」
「Aさんの妹さんは？」
「ウチも同じよ。……と、言ってもエマの場合は呪いが解けても本当の意味で目を覚ますことは無いけどね」
ハハハと笑うと恵が「すんません」と口にする。
「いいの。私が先に恵に聞いたんだから」
気にしないでとアピールするように笑ってみせる。
「ところでA、僕に何か隠してることあるでしょ？」
悟が自分のデスクまで歩きながら私に話しかける。
「はぁ？そんなの無いわよ」
「じゃあ、ここのところ任務のない夜中までコソコソ出掛けてるのは？」
「そんなの何処に行こうが私の勝手でしょ？」
そう返すと、「はい、コレ教科書ね」と恵に大量の書籍を手渡した。
悟が恵を連れてきたのはこれが目的のようだ。
「じゃあ、さっき伊地知に急かしてたのは？」
悟の言葉に隣のきよちゃんがビクッと肩を震わせた。
きよちゃんはこういう時、直ぐ態度に出る。
あ〜っ！もう、悟にバレるじゃない！
「次の任務のことよ」
答えると悟がジッと私を見てくる。
「あのさ、僕が何も知らないとでも思った？」
「な、何の話しよ…」
「こんなにAのこと心配してる恋人に隠し事なんて、酷いと思わない？」
悟の言葉に彼の隣にいた恵がギョッと目を見開くと私と悟を交互に見た。
恵が言いたいことはよーく分かる。
“二人が付き合ってる！？何でこんな男と！？”と、その顔には書かれていた。
きよちゃんはきよちゃんで、背中を縮めている。
さては、きよちゃんから漏れたな……？
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作者名：月見 | 作成日時：2023年7月1日 13時
