掴んでいる情報 ページ26
「Aさんが、呪詛師に命を狙われてる！？」
タケミっちが高専に来てから一番驚いた顔を見せる。
「そうなんだよね。直接対峙した訳じゃないから、Aの術式も力を発揮し切れなくてさ、何処の誰に狙われているのかすらサッパリで困ってる所なんだ」
私の隣に座る悟が私の代わりにタケミっちに説明する。
「じゃあ、さっきドラケンくんに頼まれたっていうのは」
「そ。Aがこれ以上、危険な目に合わないように頼まれてるって訳。Aは今、上層部からも任務以外での外出を禁止されているんだ。今の彼女にとって、高専の結界以外に出ること自体がリスクなんだよ」
「Aさんがそんな大変な事になっていたなんて……」
タケミっちが肩を落とす。
「お陰で任務の時以外は高専に缶詰だから退屈なんだよね。裏を返せば、任務がない日は暇なんだよー。だからさ、私もタケミっち達と──」
言いかけると「コラ」と悟が静止する。
「………。」
ムッと唇を突き出して不服な事を態度に表すと溜息を付かれた。
「兎に角、Aは協力できない。悪いね」
「……じゃあせめて、何か知っていることがあれば教えてくれませんか？」
「そうね……取り敢えず、きよちゃんに頼んで調べてもらってたアジトの候補地があるのと、2ヶ月前に梵天が取引してた現場なら分かるよ」
少し思い出しながら話すと「本当ですか！？」とタケミっちか目を輝かせる。
「うん」
「取引現場？何で取引現場って分かるのかな？まさか、Aそんな危ない場所に行ってた、なんてこと無いよねぇ？」
悟から向けられる怪しげな眼差しに、ギクッと肩が跳ねそうになった。
「えっ！？…ま、まさかぁ！そんな訳無いデショ？きよちゃんに教えてもらったに決まってるじゃん！」
綺麗な瞳が、じぃ〜っと私を見てくる。
「………。嘘は良くないよねぇ。前に伊地知に吐かせたらアジトの候補地しか掴んでなかったよ」
「え…！」
ヤバい。
顔は笑顔だけど、悟の背中から放たれるオーラが黒い。
絶対、怒ってる………。
「これは、後でお説教だね」
「なっ…！私はアンタの生徒じゃないんだから、お説教される筋合いは無いわよ」
「Aは僕の彼女なんだから、大事な彼女が危険な事をしてたのを見過ごすわけにはいかない」
「もう！ああ言えばこう言う！！」
「それは、Aでしょ？Aってそうやって、拗ねれば良いと思ってる所あるよね〜」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2023年7月1日 13時
