2018年─5月6日 クズだけど ページ19
私が呪詛師に狙われているかもしれない件は、直ぐに上層部の耳に入った。
あれから私は任務以外での外出を禁止されている。
任務も単独任務はなくて、必ず1級以上の呪術師と合同任務が組まれた。
お陰で任務は何時もに増してハードだし、好きなときにエマのお見舞いに行けないし、マイキーを探しに行けなくなってしまった。
「はぁぁぁぁ〜っ」と、盛大なため息が漏れる。
エマのことは心苦しいけれど、ドラケンに様子を見に行ってもらうように頼んだ。
たまにイヌピーと交代しながら、お見舞いしてくれているらしい。
ほぼ強制的に私が高専に閉じ込められているせいだろうか。
「双悪のラーメンが食べたい……」
悟との合同任務前後にそう言えば、双悪に連れて行ってくれるし、「お寿司が食べたい」と言えば銀座の高級店に連れていってくれた。
「可愛い動物と戯れたい……」
「恵ぃ〜!玉犬だして。あと、パンダいる〜??」
いや、違うから!
千冬と一虎のペットショップ行きたいだけだから!!
つまりは、彼らに会いたいという意図があるわけだけど。
そんな念を込めてジトッと悟を見ると「仕方ないなぁ、少しだけだよ?」と言いながら付き合ってくれた。
悟は私の願いを極力叶えてくれる。
何だかんだイイ彼氏だ。
人前でキスしてくる様なクズだけど。(by硝子)
そんなこんなで、任務帰りに久しぶりに妹に会いに行った足でそのままドラケンのお店に寄った。
「A悪ぃ、タケミっちにマイキーのこと話しちまった………」
会いに行くなり、罰が悪そうにドラケンが謝ってくる。
「そっか…」
「ニュースでマイキーの映像を見たらしい。一応、“マイキーのことはもう調べんな”って釘を刺したが、アイツの事だからな」
「そうだね。調べてそう……」
「そう言うAも、マイキーを調べるのは辞めるんだよ?君からも言ってやってよ」
悟がドラケンに向かってため息を付く。
「ちょっ!私は良いでしょ!マイキーは私の弟だもん!!」
「……A、また五条さん困らせてんのか?」
「困らせてないから!!」
「いーや?困ってるよ。今も呪詛師に命狙われてんのに、寂しくて君らに会いたくて堪らないAのワガママに付き合ってるところ。本当は一刻も早く高専に──」
「わっ!!ちょっと!悟!!」
パッと手で悟の口を塞ぐけど遅かった。
ドラケンには私が命を狙われていることは言っていないのだ。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時