人前で ページ18
「んっ！んんぅ…………うっ、………うぅっ………！！」
少し息苦しくて、それから先ほど吐き出した自分の置かれた状況が悲しくて肩が震える。
大人しくなった私をパッと解放すると、悟が人差し指で私の唇に触れた。
「沢山喚いてスッキリしたでしょ？……もうそれ以上、言うの禁止ね」
「っ…！はっ！？」
今しがたの出来事を脳が理解した途端、ぎゅんと一気に顔が熱くなる。
「……バッ、バカ！！…………人前でっ！何すんのよ！！！」
右手で悟の頬に平手打ちするとパッチーン！！と良い音が鳴った。
「痛た！！ねぇ！？もう少し手加減してくれても良くない！？」
「アンタ、無限あるでしょ！？何で手加減しなきゃなんないのよ！！」
「悟が悪い」
「僕も、Aさんを止める為とは言え……やり過ぎかと…………」
「硝子！？優太ぁ！？」
はぁーと硝子がため息を付く。
優太はというと顔を赤くして気まずそうにしていた。
彼らに見られた。
優太に関しては「はわわっ…！」と動揺しながらもあの瞬間、視線が私たちに釘付けだった。
ってか、人前でキスするなんてあり得ないっ！！
「……いつまでもそんなとこに立ってないで入ってきたら？」
硝子の声に部屋の入口を見ると、そこで恵が固まっていた。
「………もしかして」と私が口にすると「な、何も見てません！」と恵が明後日の方を向きながら答える。
その頬がほんのり赤い。
うん。
恵、アンタも見てたんだね。
「………もう私、呪術師辞める。恥ずかしすぎてこの業界で仕事できない………」
ぐすんと、今度は先程とは別の意味で涙が出てくる。
「呪術師辞めても、命を狙われてる現状は変わらないから、呪術師辞めるの辞めときな」
「う……」
硝子に痛いところを突かれて言い返せない。
「とりあえず、恵もこっちに来て今回の件を整理しようか」
手の形でくっきりと真っ赤になった左頬を擦りながら悟は恵を手招きしたのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：月見 | 作成日時：2023年7月1日 13時
