調査結果 ページ17
「優太と恵から聞いていた通り、爆弾は威力からして1級呪霊の拘束を解くためのものだったね。時限式だったけれど、遠隔操作も可能なタイプだった。つまり、爆発までの残り5分より早く爆発させることも可能だった説明が付く」
「もう一度現場をよく見たら、大穴のあった廊下にも小型の爆弾が仕掛けられていたみたいなんです」
優太が付け足す。
「つまり、床が崩れたのは老朽化や爆風のせいではなくて、その爆弾のせいだった………ってこと？」
「はい」
何それ。
「憶測ですが、僕らがサナギの呪霊を倒したことに満足して帰ろうとしたら、爆発する仕掛けだったんじゃないでしょうか」
「呪術師を逃がさないための仕掛けだね」
うんうんと悟が納得したように頷く。
「どちらにせよ、爆発の時間までにサナギを祓えなかったら1級が加勢する形になるし、それまでに私たちが糸の餌食になっていたら、身動きが取れないところを襲われる。……もし両方失敗しても、帰ろうとしたところで爆発させて、解き放たれた1級が不意を突いて私たちの前に現れる………」
「さっすがA！よくわかってるね」
「………褒められても嬉しくないわよ」
ジトッと悟を見る。
「ごめんごめん。悪気は無いんだよ？」
うん。知ってる。
それにしても、今回の襲撃は計画的過ぎて「はははっ……！」と笑いが込み上げてくる。
「私ってとことんデッドエンドに好かれてるんだねー。……せっかくタケミっちが頑張って未来を変えてくれたのに、………教えてくれたのに………。結局、私は………また、…………っ」
何でだろう。
呪術師として生きる以上、長生きできないことは承知の上だし、その日はある日突然来ることも分かっている。
しぬのなんて、怖くない。
そう思ってたのに。
迫ってくる事を実感するとどうして涙が出てくるのかな？
「あははっ！！私ってば、何でこんな術式を持っちゃったんだろうね！！便利だけど攻撃できない術式だから、昔はバカにされることもあったけど！！まさか！こんな形で周りから疎まれるなんて！！……あはははっ！！何で家族の中で私だけ呪術師だったんだろ！？…って言ってもその家族も今は寝たきりだし、家出してるしで実質私一人みたいなものなんだけどっ！！もういっそ───っ、んんっ！！？」
言葉の途中で急に体が引かれたかと思うと、勢いよく唇を奪われた。
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作者名：月見 | 作成日時：2023年7月1日 13時
