考察 ページ16
「………思ったんだけど、仕掛けられてた爆弾の威力が、大したこと無かったことを考えると、仕掛けた人間の意図としては、時間が経ったら1級の呪霊を解放するつもりだったことになるよね?」
体をお越した私は頭で考えたことを硝子に確認するように尋ねる。
「そうだな」と答えた硝子がフーッと息を吐いた。
爆発で呪霊も多少傷付くかもしれないけど、傷は直ぐに再生する。
そう考えると、爆弾は呪霊に巻かれた糸を焼き切るための手段だったに違いない。
「つまり、後から来た私たちを呪霊の糸で拘束されて動けないところを襲わせる……的な??」
「仮にそうだとして、呪術師を襲うことに何の意味がある?1級の呪いを拘束した理由は?」
「さぁ、………呪詛師の考えることなんて分かんないよ」
フッと脳裏に傑の姿が思い浮かぶ。
傑を呪詛師にしてしまったのは、私たちのせいでもあるのかな………なんて。
「だが、それが特定の誰かを狙ったものだったとしたら話は変わってくる」
「え?」
特定の誰かを狙ったもの……?
「因みに今回の任務、本来ならAと伏黒の合同だったらしい。乙骨はAが任務の後に何処かに行くのを止める、もしくは尾行するために付けたんだと」
「それ、悟が言ってたの?」
「あぁ、そうだよ」
とすると、優太はオマケみたいなものだから狙われていないことになるわね。
恵は入学したばっかりだし………
あ、でも禅院絡みの可能性もあるか。
でも待って?
今回の任務は1級案件として回ってきた。
ってことは…………
「もしかして、狙われてるのって、………私?」
口の端しを引きつらせながら、誰に尋ねるでもなく呟く。
「十中八九、そうだろうね」
「いや!?なんで!!?」
「さぁ?………また術式のせいじゃないかな。Aの術式は、良い意味でも悪い意味でも狙われやすいからね」
「………嘘でしょ……」
拐われた次は命を狙われるなんて、堪ったもんじゃない!!
「今の話、僕も混ぜてくれる?」
「さっ、悟……!!」
ガラッとドアを開けた悟が中に入ってくる。
後ろには優太の姿もあった。
「お帰り。意外と早かったな」
硝子の言葉に「まぁね」と悟が頷く。
「何処から聞いてたの?」と尋ねると「想像に任せるよ」だなんてはぐらかされる。
「それで?何か分かった?」
硝子の問い掛けに、悟が語り始めた。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時