2018年─4月11日 昨夜のこと ページ15
眩しい光を感じて、目を覚ます。
「うーん…」と唸ると、シャッ!とカーテンが開けられる音がする。
「やっと起きた」
そんな硝子の声にゆっくり目を開くと、彼女の姿と見慣れた高専の医務室の天井が目に入った。
「今…何日の何時?」
「11日の15時」
「うわ〜。私、結構寝てたみたいだね」
「乙骨が先に治してくれていたお陰で、私は殆んど治療してないけど、それよりも悟を部屋から追い出す方が大変だったよ」
はぁーと硝子が深いため息を付きながら傍の椅子に座る。
「え?マジ?」
「マジ」
怪我して反転術式を受けたあとは、疲れて寝込んでしまう事が殆どから、今に始まったことじゃない。
だとすると、今回の任務で起こったことが原因なんだろう。
悟が駄々をこねる姿は想像できない。
ってことは、さも当たり前のような冷静な声で「Aが目を覚ますまでここにいるに決まってるでしょ?」的なことを言ったのだろうか。
「………それは、ご迷惑をお掛けしました」
若干カタコトで謝ると、硝子がカチッとライターの火を付ける音がした。
おやおや?と、思いながら態勢をずらして硝子を覗き込む。
「硝子、禁煙してたんじゃ無かったっけ?」
「うん」
「うん。…じゃないよ。まーた歌姫に心配掛けるつもり?」
尋ねると「今日だけ」と、なんとも信用ならない返事が返ってくる。
「ところで、追い出したあと悟はどこ行ったの?」
「昨日、A達が行った廃病院。…伊地知と新田、それから乙骨も一緒だ」
「へぇ〜、みんな元気だねぇ〜。……恵は?」
「軽く怪我してたからね。Aと同じく反転術式で疲れて眠ってるよ」
「そっか」
呟くと、少し間を置いて硝子が尋ねてくる。
「昨日、何があった?」
「……よく分かんない。けど、私たちが来る前に誰かが1級呪霊を捕まえて爆弾を仕掛けてたみたい」
「随分と物騒だな」
「ね。……でさ、それを見つける前にサナギみたいな呪霊がいて。攻撃は糸を吐くだけだったけど、その割には移動が速かったんだよね」
もしも、あれが変態を遂げるタイプの呪霊だったとしたら………
動きからして特級になりうる受胎だったのかもしれない。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時