保護者みたいなもの ページ11
「そんなもんでしょ!ってな訳で、楽できそうで助かる〜!」
「いやいや、何言ってんっスか?今日のAさんは二人の保護者みたいなもんっス」
「えー」と声を漏らすと、「………あの、Aさん」と恵が言いにくそうに声をかけてきた。
「この前は、…無神経なこと言ってすみませんでした」
“この前”と言うのは、私と悟が付き合っていることが恵にバレた日の事だと直ぐに分かった。
「いいよ、気にしてないから。大体、私と悟の関係だって、恵は知らなかったわけだし」
「もしかして、五条先生とAさんがお付き合いしてる話ですか?」
優太からの問いかけに「そうだよ」と答える。
「五条先生とお付き合いするのは大変そうですね」
何を思い出しているのかは分からないけれど、優太が複雑そうな顔をしている。
一年生の間にそれだけ悟に振り回されてきた証拠だろう。
「そうなのよ〜!優太!よく分かってるわね!!」
「その割には、五条先生のことめちゃくちゃ扱い慣れてますよね?」
わしゃわしゃと優太の頭を撫でていると恵が尋ねてくる。
「そりゃあ、私たち同期だから」
少し得意気に言えば、きょとんとした眼差しで優太が尋ねてくる。
「Aさんと五条先生って、どうやって付き合ったんですか?」
私と悟の喧嘩を見たからなのか、「ちょっ、乙骨先輩…!?」と少し慌てる恵。
どう答えるか、私は言葉を選ぶ。
「………そうねぇ、……私はさ、ズルしたんだ。……悟が親友と袂を分かつことになって、落ち込んでる所に付けこんだんだよ……」
自然と視線が下がる。
私の様子に二人が気まずそうに顔を見合せた直後、新田ちゃんが声を張り上げた。
「三人とも現場に到着したっス!」
*****
新田ちゃんに帳を降ろしてもらって、私たちは廃病院の中を進む。
流石は廃病院。
低級の呪霊もうじゃうじゃいた。
私はある程度大きさのある呪霊は体術で、小さくてすばしっこい呪霊は刀で祓う。
優太も刀で、それはそれは素早く呪霊を祓っていた。
「玉犬」
恵は式神の玉犬白と黒で祓っている。
「目当ての呪霊はまだ奥に進まなきゃ駄目みたいね」
辺りの呪霊を大方片付けて息を吐く。
「Aさん!伏黒くん!ちょっと来て下さい!!」
少し先に進んでいた優太が私たちを呼んだ。
駆け寄ってみると、優太の見つめる先の廊下に大きな穴が空いている。
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作者名:月見 | 作成日時:2023年7月1日 13時