優太&里香vs傑 ページ16
「気の早いヤツめ。今は話の最中だろう」
傑が里香の攻撃を交わして呟いた。
「良いだろう。全力をもって君たちの相手をしてやろう。もう質も量も妥協しない」
体制を整えると傑がそう告げた。
「知っているかい?特級を冠する人間は4人。呪いだと16体存在する。これはその内の一体」
言えば手を翳した傑。
目の前に特級仮想怨霊、化身玉藻前が現れる。
「更に、私が今所持している4461体の呪いを1つにして君たちにぶつける。呪霊操術 極ノ番『うずまき』」
思わず、ゴクッと唾を飲み込む。
これを見るのは初めてだ。
準1級止まりの私では、これをどうにかするのは無理だ。
サッと術式を使う。
「そこの、………乙骨くん」
呼べば側にいた彼が私を見る。
「私じゃあ傑の術式には到底叶わない。けれど、君たちのコンビが挑めば大丈夫よ。…私みたいな怪しいヤツにこんなこと言われるのは腹立つかもしれないけれど、アンタ悟の教え子でしょ?ここはアンタに任せるわ」
黙って私の言葉を聞いたあと、彼が一度目を閉じた。
くるりと身を翻すと「里香」と彼女の元に歩み寄る。
「なぁに」と尋ねた里香を抱き締めた。
「いつも守ってくれてありがとう。僕を好きになってくれてありがとう。最後にもう一度力を貸して。コイツを止めたいんだ。その後はもう何もいらない、僕の未来も心も体も全部里香にあげる。これからはずっと一緒だよ」
そこまで聞いて、私は巻き込まれないようにその場から距離をとる。
「愛してるよ、里香。一緒に逝こう?」
言葉のあとに口付けると、里香が体を震わせて「あ゛あ゛あ゛あっ!」と声をあげる。
「優太!!!優太っあ゛!!!大大大大大大大、大好きだよぉ!!!」
ぐんっと一気に呪力が跳ね上がるのが分かった。
自らを生け贄とした呪力の制限解除!
凄まじいエネルギーに私は更に後ずさる。
特級同士のぶつかり合い。
それも、これほどまでだなんて………
巻き込まれればただじゃ済まない。
「そう来るか!!女誑しめ!!」
傑が叫ぶと乙骨は冷静な表情で彼を見据えた。
「失礼だな、純愛だよ」
「ならばこちらは大義だ」
大きな力と力がぶつかる。
ズンッ!!
大きな音がして、ドドドドドと地面が揺れる。
私はその光景を只見つめることしか出来なかった。
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作者名:月見 | 作成日時:2022年11月8日 22時