2 ページ14
.
｢……ほんまにごめん。｣
下だけ履いてベッドの上で土下座する彼は本当に数時間前に怒り狂っていた人ですか？と聞きたくなる。
｢いいよ。今更だし慣れてるし。｣
｢あかんよな、こんな重いのキモいやろ。｣
ヘラッと眉を下げて悲しそうに笑う姿は胸を締め付けられる。
｢俺さ、自分に自信ないんやん。｣
ポツリ、と発しだした声自体も弱々しくベッドに座り直した彼自体の背も丸まって弱々しかった。
｢Aの事最初からめっちゃタイプでさ、絶対付き合えへんやろって思ってたから今ほんま嘘みたいやねん。｣
｢やからいつかAが別の男に行くんちゃうかって。今日一緒におった人もかっこよかったやん。｣
｢俺のところにいてもらうため、なんて理由つけて彼女襲うとかほんま最低よな……｣
どんどん沈んでいく声と表情。こんな姿の彼氏放っておけるわけがなく俯いている彼を抱きしめた。数秒たったあとに腰に回ってきた腕。
｢全然最低じゃないよ、ゾムよりかっこいい人私は知らないしゾムから離れることなんてまずないよ。安心して……？｣
｢ほんま？｣
顔を上げて心配そうに見つめてくる彼は、さっきの猛獣とは違い小動物のようで可愛い。
｢ほんと。私もゾムに心配かけないようにしなくちゃね。｣
｢よかったぁ……嫌われたらどうしようかと。｣
柔らかく笑う彼を見て安心した私。先程の疲れもあってか眠気に襲われた私はそのまま彼に伝えてから眠りについた。
ーーー
｢ほんま、可愛ええよなぁ。｣
スヤスヤと眠りにつく彼女を撫でながら思う。頬を撫でる事にピクピクして愛おしさで溢れる。
ほんと単純で可愛い彼女。
自身であざといと思いつつも悲しさを全面に出して反省を述べれば手を差し伸べてくれて、嬉しさを全面に出せば安心したように笑ってくれる。
彼女が他の男のところに行くなんて考えれば考えるほど腸が煮えくり返りそうだ。
そんなこと、ありえない。あってたまるもんか。
あぁ、あの同僚は名をなんと言ったのかなぁ。しっかりと社員証を見てくればよかった。
近づく男の影は徹底的に潰さなくちゃ。
この穏やかな寝顔を隣で見続けるためにも。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 651人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
猫うどん(プロフ) - からわささん» いえいえです！もし出たらまた読ませていただきます！ (2018年6月5日 23時) (
レス) id: b69debf442 (このIDを非表示/違反報告)
からわさ(プロフ) - 猫うどんさん» 返信遅れてしまってすみません.........！！応援ありがとうございました！また次回作あれば、その時は見ていただけると嬉しいです！ (2018年6月5日 0時) (レス) id: 4be6bd897c (このIDを非表示/違反報告)
猫うどん(プロフ) - コメント失礼します…あの…好きです…しんどすぎて涙が止まりませんこれからも楽しみにしています！！ (2018年6月2日 11時) (レス) id: b69debf442 (このIDを非表示/違反報告)
りんな - からわささん» ありがとうございます！！続編が掲載された際には是非読まさせていただきますー！ (2018年5月29日 22時) (レス) id: 01225c6438 (このIDを非表示/違反報告)
からわさ(プロフ) - りんなさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです。knサイド追加しましたので読んでいただけると嬉しいです。また、続編も検討中ですので掲載した際は、読んでいただけると嬉しいです。 (2018年5月29日 19時) (レス) id: 4be6bd897c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：からわさ | 作成日時：2018年5月11日 19時
